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市町村合併:1月住民投票、合併に反対の自治体 続出

2004/02/02

 1月の住民投票は9市町村で実施された。そのうち、合併に賛成の結果となったのは、長崎・小長井町のみ。そのほかの自治体では、合併賛成している町長のリコールが決まった長崎・香焼町も含めて、合併に反対の結果となった。

【1月11日実施】
 長崎・香焼町は町長解職と議会解散を問う住民投票を実施した(投票率はともに74.30%)。長崎地域法定協(長崎市、伊王島町、高島町、野母崎町、三和町、外海町)での合併に賛成している町長と議会に対して、住民投票を請求した住民団体は長崎市に吸収合併されることを危惧。その結果、町長の解職については、賛成が過半数を占めて町長は失職に、議会の解散については、反対が多数を占めて不成立となった。これを受けて、2月10日予定の合併調印式は延期が濃厚となっている。町長選は2月15日に投開票されるが、解職された前町長も出馬に前向きな姿勢を見せている。

【1月18日実施】
 山口・小野田市と山陽町は、宇部市、小野田市、楠町、山陽町の2市2町法定協設置設置の是非を問う住民投票をそれぞれ実施(57.94%、73.40%)。宇部市へ吸収合併されることを危惧し、両市町とも反対の結果となった。今後は、両市町の1市1町での合併を目指すが、広域合併を想定している県の合併支援特別交付金は受けられない。

 長崎・小長井町は、県央地区1市4町法定協(諫早市、多良見町、森山町、飯盛町、高来町)への復帰の是非を問う住民投票を実施(76.21%)。「すぐに合併」が過半数を占め、復帰に反対の町長は1月30日、辞職した。同町は2003年6月、「合併後の将来像が疑問」だとして同法定協を脱退。9月に、突然の脱退に不満の住民団体が住民投票を直接請求していた。

 三重・朝日町は、四日市市、楠町との合併の是非を問う住民投票を実施(71.54%)。「合併はしない」が「合併する」を上回った。同町は2002年12月、四日市、鈴鹿市、楠町との法定協設置案を可決したが、2003年4月の町長選で合併反対派が勝利し、合併方針は白紙となっていた(鈴鹿市も議会が法定協設置案を否決して離脱)。同町は当初、隣町の川越町との合併も選択肢に入れようとしたが、川越町は単独方針を変えなかった。同町の試算によれば、合併しなかった場合、2005年度から赤字になり、2010年度までに30億円の財源不足となる。

【1月25日実施】
 奈良・大淀町と下北山村は、吉野郡8町村法定協(吉野町、大淀町、下市町、黒滝村、天川村、下北山村、上北山村、東吉野村)での合併の是非を問う住民投票を実施(66.68%、84.14%)。両町村とも反対の結果となった。両町村が法定協から離脱すると、残る6町村の総人口は2万6000人で市の人口要件である3万人を下回り、新市構想は全面的な見直しを余儀なくされる模様。

 岡山・久米町は、久米郡5町法定協(中央町、旭町、久米南町、久米町、柵原町)の設置の是非を問う住民投票を実施した(71.26%)。同町以外の4町は法定協設置を可決していたが、今回の住民投票では反対が多数となり、法定協設置はなくなった。同町は、津山地域(津山市、加茂町、勝北町、中央町、阿波村)との合併を目指す。

 沖縄・伊良部町は、宮古6市町村(平良市、城辺町、下地町、上野村、伊良部町、多良間村)での合併の是非を問う住民投票を実施(50.95%)。同町は宮古島と海を隔てており、「合併しない」が多数を占めた。合併賛成派の町長も結果に従うと表明。それでも、町が抱える累積赤字は1億4000万円で、2004年度には「財政再建団体」に転落する危険性もあるため、行財政改革で180人の職員を100人まで削減しないと町政運営できないことも示した。(田中潤)