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環境ISO取得する自治体増える 一方で費用面から返上する自治体も

2004/01/30

 山形・天童市は1月、2002年8月に取得したISO14001(環境ISO)による経費節減額が、2003年9月までの1年2ヵ月で788万7000円となったことを明らかにした。主な節減項目は電力使用量の425万5000円、コピー機使用回数の137万4000円、可燃ごみ排出量の69万2000円、不燃ごみ排出量の64万4000円など。

 山形・東根市は1月、2001年10月に環境ISOを取得したが、2001年度は352万円、2002年度は368万円、2003年度は9月までに442万円と1000万円を超える経費節減額になったことを算出した。電子決済による紙使用量の縮減、保存期限の切れた秘密文書の再生紙原料としてリサイクル、分割消灯できるよう電灯の配線替えなどを行っている。

 北海道は2003年11月、2000年度に取得した環境ISOについての成果をまとめた。電気、ガス、ガソリンなどの使用による二酸化炭素量は、1998年度に比べて2002年度までに12.5%削減。電気代やコピー用紙代などの経費削減額は、2000年度〜2002年度までの3年間で4億8000万円となった。

 ISO14001は、国際標準化機構(ISO)の「環境マネジメントシステム規格」で、環境マネジメント(EMS)をどのように構築するかを定めた仕様書のこと。組織自らが環境方針や目的を定め、そのために計画を立てて運用し、その結果を点検・是正し、次のステップへの見直しを行う。必要ならば第3者(審査登録機関)による審査を受けて、認証されるとISO14001を取得することになる。企業イメージの向上、省エネなどによるコスト削減、環境問題への迅速な対応などがメリット。
 財団法人日本規格協会(環境会議規格審議委員会事務局)によると、2003年12月末時点で、ISO14001の審査登録状況は総数で1万3819件。そのうち、地方自治体の登録は503件(3.6%)となっている。なお自治体の登録については、1998年度末で14件、1999年度末で81件、2000年度末で212件、2001年度末で352件、2002年度末で461件と年々増加している。

 一方で、環境ISO認証取得の審査委託に伴う経費削減のために、認証された環境ISOを返上する自治体も出てきた。

 岩手・水沢市は2月から、2001年2月に取得した環境ISOを更新せず、独自システムで環境管理の運用を始める。環境ISOにより年間400万円の経費削減を実現してきたが、認証取得審査と定期審査でシステム構築が既にできており、審査登録機関の審査がなくとも職員自らの力で継続できるとして返上した。ISOの認証審査には、初年度登録で200万円、年1回の定期審査に88万円、3年ごとの更新時にも184万円がかかる。

 岩手・花泉町は2003年12月から、2002年12月に取得した環境ISOを返上して、組織自らが構築・運用を進める自己宣言方式に移行した。毎年の定期審査と3年ごとの更新にかかる委託料負担を軽減するのが狙い。環境ISOの効果により2002年度は350万円の節減効果があったが、今回の定期審査で80万円かかる予定だった。第3者機関の審査がないので信頼性が課題となるが、内部努力を進めながら現行システムを継続するとしている。(田中潤)