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刑務所誘致 美祢市に決定

2004/01/28

 法務省は1月27日、新設を計画している刑務所の事業予定地に山口・美祢市の「美祢テクノパーク」を選定したことを正式発表した。刑務所新設は、1983年に収容を始めた北海道・月形刑務所以来となる。名称は「社会復帰促進センター」(仮称)で、2007年4月の収容開始を目指す。男女の初犯受刑者を500人ずつ収容する(男女の拘禁場所は別)。
 民間の資金、ノウハウなどを活用するPFI手法を初めて導入。逃走者の逮捕や懲罰など権力性、専門性の高い業務以外は民間事業者のノウハウを活用し、警備や炊事、医療、受刑者の職業訓練、矯正教育などの業務を想定している。米国や英国などすべての業務を民間事業者が運営する「民間刑務所」ではなく、公務員である刑務官と民間職員が協働して運営する「混合運営施設」の方式を採用する。

 総務省は刑務所予定地の選定経過も公表している。美祢市は、「地域振興や地域活性化」「将来の増改築など施設の拡張可能性」の点で他市よりも優位だったことがあげられた。
 候補地としては、ほかに全国51ヵ所あり、同省は8月に、美祢市のほか、兵庫・加古川市、広島・竹原市、鹿児島・枕崎市の4市に絞り込んでいた。同省によれば、竹原市は「水道などのライフラインの確保」、枕崎市は「地元調整」に時間がかかると見込まれて選定外にしたとのこと。

 2003年版犯罪白書によると、2002年12月末時点で、刑務所の収容人員は6万9502人(収容定員6万5264人)、収容率は116.5%。行刑施設(本所)の9割が過剰収容となっており、受刑者の生活環境が悪化している。長野刑務所では、2002年秋から収容率が120%を超えており、共同室(房)の混雑を嫌い、わざと規則違反をして、本来は罰として入れられる単独室(定員1人)に逃げ込む受刑者もいるとのこと。

 法務省は既存の刑務所も増設する。北海道では、月形刑務所が2003年度補正予算で200人分、2004年度当初予算で420人分、網走刑務所が2003年度補正と2004年度予算でそれぞれ200人分、札幌刑務所が2003年度補正と2004度予算でそれぞれ207人分の収容施設を増築する予定。なお、現在の全国刑務所数は58、少年院は8、拘置所は7となっている。(田中潤)

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