総務省は2003年12月26日、「住民参加型ミニ市場公募地方債の発行予定(1月〜3月分)」を公表し、参考として「平成15年10月から12月までの住民参加型ミニ市場公募地方債の発行実績」を明らかにした。3ヵ月間でミニ公募債の発行団体は33団体、発行額は合計1087億4000万円となった。2003年7月〜9月は706億円、4月〜6月は325億5000万円で、2003年4月〜9月の発行額は2002年4月〜9月の2.4倍。9月末までにミニ公募債を発行した自治体のうち、これまで公募債も発行したことのない自治体が4分の3を占めている。なお、2004年1月〜3月の発行予定額は450億819万円となっている。
青森、岩手、秋田の北東北3県は12月、「北東北みらい債」(60億円)を共同発行。秋田県では43分、青森県では1時間半で発行額の20億円ずつを即日完売した。償還期間は5年、年利は0.64%。青森県は東北新幹線の整備事業など、岩手県は東北新幹線沿線の防音工事、IGRいわて銀河鉄道に対する補助金、秋田県は2004年夏オープン予定の男鹿水族館(GAO)の建設資金にあてる。
共同発行については、2003年5月に兵庫県、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、篠山市が実施したのみ。2003年11月に、茨城県と水戸市など6市が検討中であることが分かっている。
富山・氷見市は12月、「ひみ市民債」(1億円)を発行し、即日完売した。償還期間は5年、年利は0.64%。市民病院の医療機器や小児救急遠隔医療システムなど、総額1億2800万円の施設整備事業費にあてる。個人購入者には償還までの5年間、市民病院での人間ドック料金を1割引にするなどの特典がある。
富山県は12月、「とやま県民債」(20億円)を発行し、52分で完売。10億円分が1時間で完売した前回発行の3月を上回る結果となった。償還期間は5年、年利は0.64%。2004年4月に高岡駅前再開発ビルに開設する高岡地区生涯学習校の入居費や総合河川整備事業費などにあてる。
熊本市は12月、「甦(よみがえ)る名城くまもと市民債」(4億5000万円)を発行した。ミニ公募債の応募を郵送で受け付けたが、応募多数(倍率3.18倍)のため抽選となった。償還期間は5年、年利は0.69%。熊本城の飯田丸櫓(やぐら)や本丸御殿など7つの建造物の復元事業(総事業費89億円)にあてる。
熊本・宇土市は12月、「うと市民債」(2億円)を発行、予定額を上回ったため抽選となった。償還期間は5年、年利は0.8%。市民会館や図書館へのエレベーター設置、歩道の改修など「やさしい街づくり」事業にあてる。
熊本・菊池市は12月、「きくちまなびや債」(1億4000万円)を発行したが、応募多数で抽選となった。償還期間は5年、年利は0.8%。菊池北中学校の校舎改築費にあてる。
東京・豊島区は12月、「豊島ふれあい債」(5億円)を発行した。償還期間は5年、年利は0.84%で、年利は9月〜12月で最も高い。清掃事務所の建設や小中学校の耐震補強工事にあてる。
福島・原町市は12月、「いいまちはらまち市民債」(1億円)を発行。発行額の2倍の応募があり抽選となった。償還期間は5年、年利は0.7%。無線による超高速インターネット接続サービス「市民アクセス網整備事業」にあてる。
東京都は12月、「東京再生都債」(250億円)を発行した。発行額は9月〜12月で最も多い。償還期間は3年、年利は0.34%。渋滞解消のための道路立体化や線路の高架化など公共交通網の整備にあてる。
岐阜県は12月、「ぎふ県民債」(100億円)を発行した。5圏域ごとに対象事業を設定。購入できるのは各圏域の在住・在勤者・法人・団体。圏域ごとの募集は全国初。発行額は、岐阜(50億円)西濃(20億円)中濃(15億円)東濃(10億円)飛騨(5億円)。償還期間は5年。利率は0.7%。県立高校の校舎改修や耐震工事(総事業費157億円)などにあてる。(田中潤)
関連資料
総務省:住民参加型ミニ市場公募地方債の発行予定(1月〜3月分)
総務省:住民参加型ミニ市場公募地方債の発行予定(10月〜12月分)
総務省:住民参加型ミニ市場公募地方債の発行予定(7月〜9月分)
総務省:平成15年度 住民参加型ミニ市場公募地方債発行予定額
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