奈良県は2004年1月から、公立小中学校と県立学校の校長、教頭を対象にした「管理職希望降任制度」の実施を決めた。「現場に戻りたい」という本人の意思を尊重し、教職員の負担軽減や組織の活性化などを図る。校長が教頭か教諭、教頭は教諭へと降任する。給与は管理職手当が支給されなくなる分が下がる模様。降任後に再度昇任を希望する際は、従来の手続きが必要とのこと。
神戸市も2004年4月から、希望降任制度の導入を決めた。同市ではさらに、昇任試験で企画・提案能力などをみる新方式も採用し、危機管理や学校経営に関する説明責任能力を問う。
そのほかに、富山県、栃木県、千葉県、長崎県でも新たに希望降任制度を実施することを決めている。文部科学省によると4月時点で、47都道府県と12政令市のうち、校長・教頭などを対象にした希望降任制度を実施しているのは19自治体(青森県、福島県、群馬県、東京都、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、和歌山県、香川県、高知県、福岡県、宮崎県、川崎市、横浜市、京都市、北九州市、福岡市)とのこと。埼玉県は8月から導入した。
また、全国における希望降任の実施状況は、2002年度は49人(校長から教諭へ:2人、教頭から教諭:44人、その他:3人)、2001年度は25人(校長から教諭へ:2人、教頭から教諭:23人)、2000年度は3人(教頭から教諭:3人)と、年々増加している。
東京都は10月、希望降任制度だけでなく、能力や資質に欠ける公立小中高校の校長や教頭に降格を勧告する制度の導入を決めた。懲戒処分を受けない管理職の降格を判断する制度は全国初。5段階の業績評価で2年連続、下位評定を受けたり勧告以上の懲戒処分を2度以上受けた管理職が勧告の対象。対象者は5日の研修を課され、都が研修結果を審査して勧告の必要性の有無を判断する。
石川県も11月、東京都に次いで降格勧告制度の導入を決めた。地方公務員法では、懲戒などの処分を受けない限り、本人の意に反して降格することはできないため、管理職の身分は保障されていた。そこで、希望降任制度を取り入れたうえで、自ら降格を希望するよう勧告する制度を導入することとした。(田中潤) |