東京・世田谷区は12月5日、資源ごみの持ち去りを禁止し、違反者に20万円以下の罰金を課すよう「清掃・リサイクル条例」を改正した。9日から施行、罰金は周知期間を置いて2004年3月10日から適用する。同区は回収古紙をリサイクルして、収入を一般財源に充当している。2002年度はビンや缶を含めると1億2000万円の歳入があったが、2003年度は古新聞紙回収量が1万トンとピークの2000年度に比べて2割減少する見込み。
そのほかの自治体でも資源ごみの持ち去りについて、条例改正案を提出している。
山口・周南市と柳井市は12月議会で、それぞれ「廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」「廃棄物の処理及び清掃に関する条例」の改正案を提出。罰則規定はないが、資源ごみを持ち去った場合は窃盗罪で告発もできる。
埼玉・川口市は12月議会で、「廃棄物の減量化及び適正処理に関する条例」の改正案を提案。可決されれば、12月中に施行される予定。資源ごみを「市の所有物」と明記、市の指定業者以外は資源物の収集・運搬を禁止する規定を追加した。ただし、罰則規定はない。同市によれば、新聞紙の回収について2003年度は2400トンを見込んでいるが、持ち去りの影響でその3割しか見込めないとのこと。金額にして1400万円の損失になる計算。
埼玉・東松山市は12月議会で、「廃棄物の処理及び清掃に関する条例」の改正案を提出。2004年2月施行の見通し。資源ごみの所有権を市に帰属するものとするが、罰則規定はない。同市によると、4月〜9月までに回収した資源ごみの総量が前年同期比で400トン減少し、被害額は190万円になるとのこと。
埼玉・新座市は、すでに「廃棄物の減量及び適正処理に関する条例」で資源ごみの持ち去りについて禁止しているが、2004年1月から全町内会による資源物横取り防止パトロールをスタートさせる。集積場を見回る際に使う「資源パトロール」と書かれた腕章を作るために、12月議会に18万4000円の補正予算案を提案している。
埼玉・坂戸市や奈良・桜井市、栃木・小山市では、資源ごみの持ち去り防止についての条例改正案を提出したことを以前に紹介したが、いずれも可決、成立した。
ちなみに、宇都宮市は11月から、「資源物持ち去り防止要綱」を策定。資源物の持ち去り禁止を明文化し、市民の責務として、持ち去りを見つけたら市へ通報するよう求める。通報で実行者が特定できた場合、県警などと連携して警告・指導を行うと規定。それに従わない場合は、氏名または持ち去りに使用した車両の登録番号を公表することも明記した。同市によれば、2002年度の資源物の売却額は、古紙・布で1761万円、缶など金属類で1億1250万円とのこと。(田中潤)
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