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市町村合併:10月、11月合併アンケート

2003/12/11

 10月、11月に結果が報道された合併についてのアンケートは全66件(10月:26件、11月:40件)。そのうち、合併の是非を問うものが47件(10月:15件、11月:32件)、合併の枠組みを問うものが4件(10月:4件、11月:0件)、今後のまちづくりに関するものが4件(10月:3件、11月:1件)、合併後の効果に関するものが1件(10月:0件、11月:1件)、合併後の新自治体の名称に関するものが5件(10月:2件、11月:3件)となった。

【10月】
*長野・真田町
 任意協を構成する上田市、丸子町、武石村との合併の賛否を問う住民意向調査を実施(回収率:86.8%)。合併について「不必要」「どちらかと言えば不必要」が43.6%、「必要」「どちらかと言えば必要」が39.0%となった。それでも、町長は「情報提供不足で、ほかの3市町村との合併は避けて通れない」として、合併を推進すると表明した。これを受けて、住民グループは住民投票を求める条例案を直接請求したが、24日の臨時町議会で否決された。同グループは11月27日、合併について町議16人への公開質問状の回答結果を公表。議員の間では「合併賛成」が「合併反対」を上回る結果となった。なお、同町の調査結果を受けて、11月12日、上田市、丸子町、真田町、武石村の任意協は、当初目指していた各12月議会での法定協設置案の提出を先送りすることを決めた。

*沖縄・那覇市
 市民と市職員を対象に合併の是非と枠組みを問うアンケートを実施(回収率:76.6%)。「合併賛成」が市民:64.4%、職員:53.6%、「合併反対」が市民:11.1%、職員:27.4%となった。枠組みでは南風原町との1市1町での合併が市民、職員とも4割を超えた。だが、南風原町が同月実施したアンケートでは、合併の枠組みで「東風平町・大里村・具志頭村」が50.2%となり、「那覇市・離島6村(渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村)」の47.3%を上回った(回収率:29.2%)。これを受けて、同町は南部4町村(南風原町、東風平町、大里村、具志頭村)の法定協に参加することを決めた。その結果、那覇市・南風原町・南部離島村任意協は解散となり、那覇市は南部離島6村と合併協議を行っている。

*島根・宍道町
 松江市・八束郡(鹿島町、島根町、美保関町、八雲村、玉湯町、八束町)との合併協議についてのアンケートを実施(回収率:45.7%)。住民投票について「必要」と答えたのが58.3%、「必要なし」は35.4%となった。そのほか、一番知りたい情報については、「住民負担」が27.6%、「住民サービス」が18.2%、「単独町財政の見通し」が13.7%。同町は12月2日までに、松江・八束法定協の枠組みでの合併の是非を問う住民投票の実施を決めた。

*木曽川文化圏市町法定協(各務原市、川島町)
 合併後のまちづくりについてのアンケートを実施(回収率:42.2%)。合併に伴う不安について「特に心配はない」と答えたのは、各務原市:53.8%、川島町:14.6%。逆に、「きめ細かなサービスが受けにくくなる」という回答は、各務原市:40.38%、川島町:66.4%となった。合併によって吸収される形になる自治体の不安が川島町では明らかとなった模様。

*広島・江田島町・能美町・沖美町・大柿町法定協
 合併後の新市名「江田島市」の是非を問うアンケート投票を実施(投票率:87.58%)。「賛成」が64.73%を占めた。4町は2001年4月に法定協を設置。無記名投票で決まった新市名などについて能美町が反発し、住民アンケートを実施して結果を尊重することを決めていた。
 そのほか、新市名をめぐってアンケートを実施したのは、長崎・雲仙法定協(国見町、瑞穂町、吾妻町、愛野町、千々石町、小浜町、南串山町)(10月)、鳥取・岸本町・溝口町法定協(11月)、神奈川・湯河原町(11月)、山梨・下部町・中富町・身延町法定協(11月)など。

【11月】
*北海道・月形町
 周辺市町村との合併の是非を問うアンケートを実施。53%が合併を望み、自立を望む人の31%を上回った。同町は、岩見沢市、 美唄市、三笠市、北村、栗沢町との任意協と、当別町、新篠津村との任意協の双方に参加しているが、単独自立派の町長は合併しない考えを表明。一部の町民からはリコールも辞さないとの声も出ており、同町は12月8日、年内に住民投票を制定することを決めた。1月下旬をめどに実施したい考え。

*長野・望月町
 佐久市との合併の是非を問うアンケートを実施(回収率:91.9%)。自立希望が44.0%となり合併希望の40.1%を上回る結果となった。だが、町長は佐久市との合併を選択し、協議を進めていく方針を明らかにした。12月6日には、佐久市・浅科村・臼田町任意協に加入した。

*熊本・七城町
 菊池市、旭志村、泗水町との合併の是非を問う住民意向調査を実施(回収率:94.4%)。「反対」が54.0%、「賛成」が46.0%となった。だが、町長は合併に前向きな議会の意向を受けて、24日、4市町村による法定協設置案とともに、住民投票条例案を提案し、両議案とも可決。25日には法定協が設置された。住民投票は2004年8月頃に実施される見通し。

*長野・箕輪町
 9日に伊那市、高遠町、辰野町、南箕輪村、長谷村との合併の是非を問う住民投票を実施、翌10日に開票され、「反対」が9693票と「賛成」の4994票を上回った。同日の10日には、10月下旬から11月上旬にかけて実施した、合併の賛否を問う住民意向調査の結果も報告。「賛成」「どちらかといえば賛成」は33人、「反対」「どちらかといえば反対」は212人となった。同町は18日、6市町村での任意協から離脱した。また、辰野町も10月31日、住民意向調査で「合併反対」が「合併賛成」を大きく上回ったこと受けて、任意協から離脱することを明らかにし、11月18日に離脱した。

*兵庫・篠山市
 合併から5年目の同市は、合併の効果や影響を検証するためアンケートを実施(回収率:42%)。行政サービス全般に対する意識については、合併後に「良くなった」「少し良くなった」と答えたのが14%、「低下した」「少し低下した」が23%、「合併前と変わらない」が37%だった。市政への関心度については「合併前と変わらない」が50%。市民の声が施策に反映されているかどうかについては、「変わらない」が24.5%、「あまり反映されていない」が24.3%となった。また、職員に行ったアンケートでは、6割以上が「業務の効率化が進められた」と答えた(回収率:73%)。職員に比べると、住民は合併による効果をそれほど感じていないことが明らかとなった。(田中潤)