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宮城県が犯罪被害者支援条例制定へ 都道府県初

2003/12/09

 宮城県は12月5日、都道府県では初となる「犯罪被害者支援条例」案を提出した。10日に可決される見通しで、2004年4月施行予定。被害者支援の専門的知識や経験を持つ人をボランティア支援員として登録し、被害者の求めに応じて派遣。ストーカーや被害者への報復、過熱報道により被害が予想される場合、警察と連携して県が公的施設への保護を斡旋できることなどを定めた。被害者支援を実施する県の責任を明確化。民間団体と協議会を設置して官民の連携も強める。

 犯罪被害者支援に関する自治体の取り組みは、埼玉・嵐山町が1999年9月に全国初の「犯罪被害者等支援条例」を制定して以来、条例を制定して支援に動いている自治体がいくつかある。

 東京・日野市は6月、都内初の「被害者、遺族等支援条例」を制定、7月から施行した。犯罪、不慮の事故、災害被害者、犯罪や事故に巻き込まれそうになった人を助けようとして犠牲になった「善意の第3者」とその家族や遺族が対象。被害者の精神的負担の軽減を目指す。具体的な支援をする総合窓口の設置や、対応する職員の研修などの施策も盛り込んだ。

 福岡・宗像市は6月、市民が犯罪に巻き込まれた場合などに、遺族や被害者に見舞金を出す「犯罪被害者等条例」(仮称)を制定する方針を明らかにした。4月に制定した「安全で住みよいまちづくりに関する条例」に基づく取り組みの一つで、見舞金のほか、県警の犯罪対策室などと連携して、精神的なケアに取り組む考え。

 そのほか、滋賀・竜王町(2000/3)、彦根市(2000/9)、近江八幡市(2001/3)、栗東市(2001/9)、安土町(2001/3)、八日市市(2001/6)、長浜市(2001/6)、甲西町(2001/10)、中主町(2001/12)、守山市(2001/12)、野洲町(2001/12)、草津市(2002/3)、大津市(2002/12)、日野町(2003/3)、千葉・佐原市(2000/12)、埼玉・三芳町(2001/3)、熊本・長洲町(2001/3)、千葉・大栄町(2002/3)、神奈川・寒川町(2003/3)などでも条例を制定している。

 条例以外の支援の取り組みでは、兵庫・加古川市が11月25日、運営している交通災害共済制度を拡充して、犯罪被害も対象にした「生活安全共済」に衣替えすると発表した。凶悪犯罪の犠牲になった遺族や、負傷者に被害程度に応じて最高100万円の見舞金を支給する。2004年4月から始める予定で、国内だけでなく日本の船舶、航空機内で起きた国外犯罪も対象とする。ただし、親族を除く第3者による犯罪行為に限定。市内在住者、在勤者、在学者が加入できる。1人年1000円(中学生以下など800円)。零歳児から加入できる。(田中潤)