北海道・奈井江町は10月27日、前日の住民投票で合併反対が多数を占めたことを受け、合併せずに複数の自治体が広域行政を行う「連合自治体」を検討する方針を明らかにした。連合自治体は、複数の市町村が教育や消防、ごみ処理、社会福祉などの分野で共同して行政サービスを行う構想。単独町政では財政的に厳しいので、周辺自治体との連携を模索する。同町ではすでに、介護保険や老人保健事務を周辺自治体との広域連合で進めている。
なお、今回の住民投票は中空知4市5町(赤平市、滝川市、砂川市、歌志内市、上砂川町、浦臼町、新十津川町、雨竜町)での合併の是非を問うもので、高校生相当より年齢が上の大人を対象にした一般投票(投票率73.01%)と、小学5年〜高校3年相当による「子ども投票」(同87.21%)を実施。同町は一般投票の結果を「尊重」し、子ども投票の結果を「参考」にするとしていた。その結果、「合併しない」が一般投票では73.61%、子ども投票では84.19%に達した。中空知地域任意協は法定協への移行も検討中だが、雨竜町と新十津川町は単独方針を表明している。
10月に実施された合併に関する住民投票は18件。そのうち合併の是非、法定協設置の是非(是非と枠組みも含めて)を問うものが14件で、「賛成」「反対」が拮抗した。是非のみを問うものでは「反対」が多数を占めた。
新潟・燕市は10月26日、三条市、田上町、栄町、下田村との合併の是非を問う住民投票を実施(投票率69.27%)。「反対」が51.1%を占め、合併は白紙となった。29日には、合併賛成派の市長が辞職届を提出した。
埼玉・富士見市、上福岡市、三芳町、大井町は10月26日、2市2町での合併の是非を問う住民投票をそれぞれ実施した(投票率40.48%、43.54%、51.53%、47.20%)。富士見市は投票率が成立条件である「有権者の3分の1以上」を上回り、「賛成」が多数を占めた。残りの1市2町は成立条件「同2分の1以上」で、上福岡市と大井町は成立条件を下回り、「参考扱い」。三芳町だけが成立し、「反対」が多数を占め、2市2町で構成する法定協は解散することとなった。同法定協では新市名や庁舎位置、合併日(2004年10月1日)などがすでに決まっていた。
長野・山ノ内町は10月26日、中野市、豊田村との合併の是非を問う住民投票を実施(投票率66.33%)。14票差で「反対」が多数を占めて、同町は両市村との任意協から離脱する意向を明らかにした。
岡山・長船町は10月26日、邑久町、牛窓町との合併の是非を問う住民投票を実施(投票率56.76%)。「反対」が過半数を占めた。同町は結果を尊重するとしており、すでに新市名の名称も決めていた3町の合併は難しくなった。
香川・国分寺町は10月26日、高松市との法定協設置の是非を問う住民投票を実施(投票率61.66%)。「賛成」が過半数を占め、同市との法定協設置が決まった。同町はすでに綾上町、綾南町と法定協を設置しており、2つの法定協に参加するすることになった。総務省によると、複数の法定協に参加している自治体は全国で37とのこと。
鳥取・智頭町、岩美町は10月5日、鳥取市、河原町、用瀬町、佐治村との法定協設置の是非を問う住民投票をそれぞれ実施した。(投票率82.34%、67.45%)智頭町は「賛成」が過半数を超え法定協設置が決まった。一方、岩美町は「反対」が過半数を占め、合併せずに単独で存続していくこととなった。
合併の是非のみを問うもので「賛成」となったのは、10月13日に実施した愛媛・五十崎町の住民投票(投票率79.85%)。同町と内子町との合併を申し入れている小田町との合併について「賛成」が多数を占め、17日に行われた五十崎と内子町の臨時議会で、法定協に小田町を加える議案がそれぞれ可決され、11月に小田町の加入が決まった。
合併の是非と枠組みを問うもので結果的に「賛成」となったのは2件。
秋田・十文字町は10月5日、合併の是非と枠組みを問う住民投票を実施(投票率77.18%)。「横手市平鹿郡8市町村(横手市、平鹿町、雄物川町、大森町、増田町、大雄村、山内村)での合併」が「増田町との合併」「合併しない」を上回り最多となったが、過半数には至らず、住民投票条例に基づき、町議会の判断に委ねられることになった。町長は「増田町との合併」を進めており、31日に予定していた臨時議会を11月上旬に延期し、合併の枠組みを決める。
埼玉・北川辺町は10月19日、合併の是非と枠組みを問う住民投票を実施(投票率74.42%)。「栗橋町、大利根町との合併」が「加須市、騎西町との合併」「合併に反対」を上回り、北川辺町は結果を尊重する意向を示した。
合併の枠組みのみを問う住民投票は2件。
栃木・南河内町は10月26日、合併の枠組みを問う住民投票を実施(投票率62.52%)。「3町(南河内町・石橋町・国分寺町)での対等合併」が「宇都宮市への編入合併」を上回った。同町はこの結果を受けて、3町での法定協設置に向けて動くこととなった。
長崎・南有馬町、口之津町は10月12日、合併の枠組みを問う住民投票をそれぞれ実施。(投票率72.95%、70.93%)両町とも、島原半島南東部6町(加津佐町、北有馬町、西有家町、有家町、布津町、深江町)でつくる雲仙地域合併協と合流する「8町合併に賛成」が「2町合併に賛成」を上回った。両町は8月の町議会で、8町での法定協設置議案を否決していたが、この結果を受けて、それぞれ8町での合併を推進する意向を示した。
ちなみに、香川・東かがわ市は10月26日、市議会解散をめぐって住民投票を実施(投票率53.27%)。市議会解散に「賛成」が「反対」を上回り、市議会は解散し、11月23日に出直し市議選が行われることとなった。同市は4月に合併して新市となったが、合併特例法による在任特例を適用し、旧町議42人が2年間任期を延期してそのまま市議になった。そのことについて、住民が「予算の無駄遣い」と反発、住民投票を請求した。この動きに対し、市議24人は辞職、残り18人にまで減少していた。11月の市議選の定数は24となる。総務省によれば、在任特例を適用しない自治体は京都・丹後市など20超とのこと。(田中潤) |