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合併問題もからみ桐生競艇は撤退へ?

2003/10/22

 桐生競艇の施行者である阿左美水園競艇組合(群馬・薮塚本町、笠懸町、大間々町)は10月20日、競艇事業からの撤退問題についての結論を先送りした。

 桐生市も桐生競艇の施行者だが、9月10日に2003年度末で競艇事業から撤退することを正式表明した。売り上げがピーク時の1995年度の779億円から、2002年度は252億円に減り、初めて収益が5億2000万円の赤字となった。2003年度も4月、5月期の収益が累計7105万円の赤字で、7月実施の市民アンケートでも廃止すべきだとする意見が59%にのぼっていた。

 同組合の収益も、2002年度に初めて2億7000万円の赤字となった。桐生市が撤退を表明した桐生競艇場について、同組合は9月30日、経営改善で黒字転換すれば、2004年度も開催を継続する方針を決めていた。一方で、同組合の3町は桐生市、太田市、尾島町、新田町の東毛地域合併協への参加を申し入れたが、加入条件として競艇事業からの撤退が提示された。それを受けて、笠懸町長は一転、2004年度の競艇事業からの撤退を表明したが、各3町議会の判断が未決定のため、先送りを決めた模様。

 なお、桐生競艇事業を運営、管理する県モーターボート競走会と施設会社・関東開発は10月17日までに、競艇事業継続の要望と抜本的改革案を同組合に提示。改革案では、施設使用料を4.5%に引き下げ(現行6.5%)、業務を民間に委託することなどをあげている。施設使用料については、同組合と関東開発との間で2002年9月の契約切れ以降、新規契約がまとまらず長引いていたが、2月に料率を現行の6.8%から0.3%引き下げて総売上額の6.5%とすることで契約を締結したばかりだった。

 全国の競艇の売り上げ総額は、ピーク時である1991年度の2200億円から2002年度は1200億円と大幅に減少しており、施行者である自治体にとっては深刻な問題となっている。

 9月22日、丸亀競艇を開催する「善通寺市ほか10町競艇事業組合」から香川・善通寺市と多度津町が2003年度末で脱退することが明らかになった。丸亀競艇の施行者は、丸亀市と同組合で、1市10町に売り上げの4%を均等割りと人口割りで配分している。そのうち善通寺市、多度津町への2002年度の分配金は、それぞれ1500万円、1400万円だが、ピーク時の3分の1にすぎず、財源としては不安定だった。同組合では、撤退や赤字化に備えて、2001年度から分配金の25%を組合で基金として積み立てているが、両市町とも基金は放棄するとのこと。

 鳴門競艇の施行者である徳島・鳴門市は3月、2002年度競艇事業会計が4億1000万円の赤字になるとの見通しを示した。1998年度に2億3100万円、1999年度が6億1500万円、2000年度が5億7200万円と3年連続で赤字。2001年度は公営企業金融公庫納付金からの還付が3億円あり黒字となったが、2002年度は還付が1億7900万円しかなく、売り上げ減を吸収しきれなかったとのこと。2003年度は、経費削減を一層推進し、1900万円の黒字転換を目指している。

 徳山競艇の施行者である山口・周南市は、2002年度の競艇事業会計が2億3500万円の赤字で、年度当初に1億3500万円あった繰越金を食いつぶして、1億円の累積赤字に転落した。

 収益を黒字としている自治体もある。

 唐津競艇の施行者である唐津市は、2002年度の競艇事業の売り上げが2001年度の395億590万円を大きく下回る212億3500万円だったが、70人の早期離職や経費節減を徹底し、215万円の単年度黒字を維持した。15年前には収益が30億円を超えていたが、2000年度は3億円、2001年度は3700万円に激減したので、2年間で職員3分の1(100人)削減し、賃金カットにも踏み切っていた。

 浜名湖競艇の施行者である浜名湖競艇企業団(愛知・舞阪町、新居町、雄踏町)は、2002年度の売り上げが6%減だったが、ファンサービスなどの宣伝広告費の削減や場内清掃などの委託事業の見直し、職員配置の適正化などを進めて8億円経費削減して、競艇事業を黒字に転換、3町に2億7000万円ずつ配分した。(田中潤)