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校長が一般教職員を「成績表」で評価へ 埼玉県

2003/10/20

 埼玉県は10月15日、2006年度から校長や教頭が一般教職員の「実績」「能力」「意欲」を評価するシステム「人事評価シート」(仮称)の導入を検討していることを明らかにした。将来的には能力給の導入に結びつける方針。「学級経営」「生活指導」など5項目について管理職が3段階で評価していたこれまでの勤務評定を、目標の達成度、企画立案能力や責任感などから、より詳しく評価するもので、いわば教職員の「成績表」となる。評価が悪かった教職員には、研修も実施する方針。
 県は2005年度までに、現在管理職だけで行われている自己評価制度を教職員にも拡大する予定で、自己評価と校長や教頭による評価を組み合わせて、教諭の能力向上を狙っている。

 このような教職員の評価について、文部科学省は2005年度までに、昇給や昇進に反映させる人事考課制度を全国で導入する方針を固めている。現在でも勤務評定で教職員を評価しているが、日教組などの反発もあり、多くの自治体では評価結果を昇給などに反映させていないのが現状。
 その中で、東京都は2000年度から、実績により教職員の待遇に差をつける人事考課制度を導入した。教職員が新年度の指導目標を記入し、校長に提出。校長はそれを年度末に5段階で評価し、高評価を受けると昇給するというもの。大阪府や神奈川県でも2002年度から試験的に同様の評価制度を始めている。

 また、東京都は2004年度から、全都立高校で生徒が教職員を評価する制度を導入する予定。「説明は分かりやすいか」「板書は整理されているか」などの項目から3〜5段階で評価し、年に3回実施する。ただし、評価は参考資料にとどめ、業績評価には結びつけない方針。

 福島・飯舘村は2002年3月から、村内全小中学校を対象に、生徒が父兄と一緒に先生の授業を評価し、通信簿をつける「先生、あのね。」という制度を導入している。年1回の実施で、「先生の教え方はどうか」「授業はどうか」の2項目について「よく分かる」「だいたい分かる」「よく分からない」の3段階で評価し、「先生にこんなことをしてほしい」「こんなことはしないでね」の2項目については自由記入方式で評価する。無記名とし、集計結果は「通信簿」として先生に渡される。

 教職員が校長を評価する制度を導入している自治体もある。

 香川県は2003年度中に、県内全公立小中高324校の校長の勤務態度について、教職員が各市町や県の所管教育長に文書で直接伝える評価システムを導入する方針。

 松山市は2002年度から、市内全市立小中72校で教職員が校長を評価する制度を始めている。「教職員の特徴を生かした適材適所の配置」「子どもや地域の特性を生かした教育計画」「教職員との人間関係の構築」「保護者や地域との連携」など14項目について、教職員が5段階で評価。校長自身も3段階で自己評価し、教員の評価と比較して、自己の能力を自省して学校運営に生かすというもの。(田中潤)