9月に結果が明らかとなった市町村合併についてのアンケート調査は30件となった。8月が22件、6月〜7月が33件、4月中旬〜5月が40件、3月〜4月中旬が40、1月〜2月が100件だったことを考えると、減少傾向にあったアンケート調査が若干増えた模様。
自治体が単独実施したアンケートは22件、合併協など複数自治体が共同で実施したアンケートは8件。複数自治体で実施したアンケートはすべて、まちづくりに関するもの。
高知・中村市、大方町、佐賀町、西土佐村による法定協は、新市に求める施策や将来像を問う住民アンケートを実施(回答率14.4%)。合併する場合の不安点として、「周辺部が寂れる」「行政サービスの水準が下がる」などの意見が多かった。新市の将来像については、「福祉のまち」「産業のまち」を希望する人が多かった。また、若者定住を促進するための施策として、「農林業、地場産業など既存産業の振興」「起業家など、働く場づくりへの支援」などの意見が多数を占めた。
奈良・平群町、三郷町、斑鳩町、安堵町、上牧町、王寺町、河合町の7町による西和地区法定協は、「新市建設計画まちづくりアンケート」を実施(回答率52.6%)。将来のまちづくりのイメージでは「歴史、伝統のある」「快適な」「調和がとれた」が多数を占めた。合併への期待では「行政のスリム化」、不安な点では「中心と周辺で格差が生じる」などの声が多かった。
単独で実施したアンケートでは、合併の是非を問うものが14件、合併の枠組みを問うものが8件となった。
是非を問うアンケート結果のうち、「賛成」が10件、「反対」が4件。
沖縄・宜野湾市は、現在任意協を構成する西原町、中城村との合併についての是非を問うアンケートを実施したが、回答率が1.6%と低迷した。結果は、「賛成」が70.4%、「反対」が16.2%となった。
中城村もアンケートを実施したが(回答率50.7%)、これは合併の枠組みについて問うもの。任意協を構成する宜野湾市、西原町に北中城村を加えた枠組みが27%、任意協の枠組みが14.7%、宜野湾市・北中城村の枠組みが10.4%、北中城村が10.2%、「回答なし」が18.2%あった。
西原町は9月14日に、任意協での合併の是非を問う住民投票を実施したが、投票率が町条例の成立要件(50%以上)を下回り不成立となった。同町は任意協からの離脱へ向けて動いており、10月17日には同任意協は解散する予定。宜野湾市は「合併は時期尚早」として、合併せず単独でやっていくことも検討している。中城村は北中城村との合併を検討中。
栃木・日光市は今市市、足尾町、栗山村、藤原町との合併の是非を問うアンケートを実施、「賛成」55.6%、「反対」41.7%となった。この結果を受けて、同市は「議会も市民も意見が二分されており、合意形成に至っていない」として、この日光広域圏5市町での合併協議から離脱することを宣言した。同市では足尾町と2市町での法定協設置を求めて住民発議がなされたが、足尾町は日光市との法定協設置について、議会に付議せず不成立となった。今市市、足尾町、栗山村、藤原町の4市町は10月1日に、法定協を設置した。
岡山・早島町は、倉敷市、船穂町、真備町との合併の是非について問うアンケートを実施(回答率54.4%)。「合併したほうがよい」が21.6%、「合併する必要がない」が58.1%となり、同町議会はこの結果を「尊重すべき」と判断。町議会は9月25日、市町村合併しないことを宣言する決議案を可決した。倉敷市、船穂町、真備町は10月1日、法定協を設置した。
横浜市は、山梨・道志村との県境合併について住民の意見を問う「合併に対する市民意見募集掲示板」を市ホームページに設置。「賛成」37%、「反対」43%、「その他」20%と賛否が拮抗したが、同市は9月8日、「村側が一本化していない」などを理由に、道志村からの合併打診について辞退することを決めた。
合併の枠組みを問うアンケートのうち、枠組みのみを問うものが、先に記した沖縄・中城村など3件、枠組みと合併についての是非の両方を問うものが5件。
埼玉・日高市は、合併の是非と枠組みを問うアンケートを実施(回答率89.7%)。合併の是非について、「望ましい」が20.7%、「少なくとも検討すべき」が47.0%と「合併賛成」が67.7%を占めた。合併の枠組みについては、「日高市、飯能市、名栗村」が29.1%、「日高市、飯能市、狭山市、入間市、名栗村」が21.6%、「日高市、川越市、坂戸市、鶴ケ島市、毛呂山町、越生町、川島町」が18.9%という結果となった。
鹿児島・市来町は、合併の是非と枠組みを問うアンケートを実施(回答率86.20%)。法定協を設置している東市来町、伊集院町、日吉町、吹上町、金峰町と6町での合併が20.25%、串木野市、東市来町との「1市2町の枠内」での合併が76.74%となった。「1市2町の枠内」には1市1町、もしくは単独(合併しない)を含んでいる。これを受けて、市来町議会は10月9日、6町で構成している日置法定協から脱退するための協議会規約の一部を変更する議案を可決。規約変更は日置合併協の構成を6町から、市来町を除く5町とする内容など。
串木野市は、市来町、東市来町との1市2町での合併の是非を問うアンケートを実施(回答率91.63%)。「市来町、東市来町との1市2町の枠内の合併」を「希望する」が58%、「希望しない」が36%で、無回答が6%となった。市は「結果を尊重する」と述べているが、市民からは「市民に一方的な情報だけを流したアンケートは信用できない」「紛らわしい選択肢では市民の声は反映できない」などの声もあがっている。(田中潤) |