和歌山県は11月26日、県内全公立小中学校で「学力診断テスト」を実施するが、結果を公表することについて「学校の序列化につながる」、テスト自体の実施についても「差別・選別の教育を助長し、競争を激化させる」など、「学力診断テスト」に対して反対の声があがっている。結果は2004年1月末、設問ごとの正答率を、県、8地方(教育事務所単位)別で分析、県教委のホームページ上に公表する。3月末までには、市町村別や学校別の正答率を「指導事例集」にまとめて、各学校に配布する予定。
独自に学力テストを実施する自治体は増えている。文部科学省によると、2003年度に小中学生、高校生を対象に実施する都道府県・政令指定都市は43と、2002年度の27を大きく上回っている。そのうち、和歌山県のように対象学年のすべての学校で調査をするのは18とのこと。
全国学力テストだけに頼らず、地域の子供がどれだけの学力を身に着けているかを、きめ細かく数字で確かめようというのが目的だが、特に学校別成績公表については、「学校の序列化」を懸念する声も強い。
そんななか、東京・荒川区は6月、区立小中学校で2月に実施した学力調査の学校別調査結果を公表した。学力テストの結果を学校別に公表したのは全国初。その結果、学習目標の達成率は学校間で大きな差が見られ、小学算数で最も高い学校が87.6%、最も低い学校が66.6%と21ポイントの格差がつき、格差が最小だった小学国語でも16.2ポイントの格差があった。同区では、通学先を区立の全小中学校から自由に選べる学校選択制度を導入しており、保護者からは「学校を評価する材料になる」などの声も出ている。
東京・品川区は8月、4月に実施した区立中学1年生対象の学力テストの結果について、学校の序列化を避けるために、生徒が在籍する中学校別と出身小学校別の教科別平均点の公表を控えた。同区は当初、結果を公表する方針を示していた。結局、設問ごとに達成すべき正答率を設定し、各校のホームページに、実際の正答率と併せて掲載した。
鳥取県は7月、1月に実施した県内全小中学校の小学3、6年生、中学2、3年生対象に実施した基礎学力調査結果を公表。県全体の分析に加えて、市町村別の結果も公表し、ホームページにも掲載した。
広島・三次市は7月、市広報で4月に市立小中学校で実施した学力テストの学校別成績を各校の学年別平均点を含めて公表した。ホームページにも掲載。各校の学年別平均点を掲載。ただし、個人が特定されるため、5人以下の学年では公開していない。
広島県は6月、2002年11月に実施した県内全公立高100校の1、2年生を対象の学力テストの結果を公表した。3科目6種類の試験すべてで、「基礎的学力水準」をクリアしたのは16校。このほか23校は1〜5種類の試験で水準を満たした。ホームページにも学校名や学力テストの報告書を掲載した。(田中潤) |