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相馬市が「財政非常事態」宣言

2003/09/10

 福島・相馬市は9月8日の定例市議会で、市の財政が危機的状況で、2006年度にも財政再建団体に転落する恐れがあるとして、「財政非常事態」宣言を行った。2004年度から5ヵ年を財政健全化計画期間とし、人件費抑制など徹底した歳出削減に取り組む方針で、12月までに具体的な財政再建プログラムを策定する。市の財源見通しによれば、2004年度に7億5000万円、2005年度は13億6000万円の財源不足が生じ、2006年度には18億円の財政赤字を抱え、財政再建団体に転落する。2002年度から「第2次財政改革大綱」を策定して財政健全化を進めてきたが、税収の落ち込みなどで、一層の対策が必要となった。

 総務省の2001年度市町村決算(普通会計)によると、歳入出の差から翌年度への繰越金を除いた実質収支が赤字の市町村は2000年度よりも4団体増の25団体(都道府県では大阪府のみ)。
 標準財政規模に対して実質収支の赤字額が都道府県で5%、市町村で20%を超えた場合、財政再建団体となって総務大臣が承認した計画に基づいて再建に取り組まない限り、自治体は地方債の発行ができなくなる。再建団体になると、自治体は完全に総務省のコントロール下に置かれ、独自の事業などができなくなるのはもちろんのこと、わずか1000円の出費についてもいちいちお伺いを立てなければならなくなる。
 総務省によれば、1975年以降に財政再建団体なったのは16市町村。最後に再建団体となったのが福岡・赤池町で、1991年度から再建団体となり、人件費の抑制や町営住宅家賃の値上げなどを進めて、2000年度に脱出した。

 福島・泉崎村は2000年度決算の実質収支比率が27.7%と再建団体への転落基準に達しているが、再建団体化を申請せず自主再建に取り組んでいる。村の財政赤字は2002年度見込みで29億2700万円。その原因の1つが、1998年に分譲を始めた天王台ニュータウン。バブル崩壊で販売不振が続き、村は多額の債務を抱えている。村は4月15日から、天王台ニュータウンの購入者の女性家族を「ヤクルト」の配達スタッフとして優先採用する販売協定を乳酸飲料販売会社「郡山ヤクルト販売」と締結。住宅を購入したくても夫の収入だけではローンが組めない家族に対して、妻の働き口を確保することで販売促進を狙っている。4月11日時点で、天王台ニュータウンの分譲は195区画のうち55区画。

 一方、青森・三厩村は5年ぶりに単年度赤字を脱却。9月5日の村議会で、2002年度普通会計決算で3316万5000円の黒字計上を示した。1998年度以来単年度赤字を計上、2002年度には再建団体転落の危機となっていたが、2006年度で累積赤字も解消、実質収支が黒字に転換する見込み。人件費削減などの歳出抑制策、村役場建設予定地の売却などの歳入増加策が功を奏した。(田中潤)