8月に結果が各紙で報道された市町村合併についてのアンケート調査は全22件となった。そのうち、合併自体について、あるいは現在協議を進めている自治体との合併の是非を問うアンケートは5件、合併の枠組みを問うアンケートは11件(枠組みだけを問うアンケートが3件、合併の是非も含めて枠組みを問うアンケートが8件)、まちづくりや合併後の自治体の名称などを問うアンケートは6件となった。
自治体が単独で実施したアンケートは13件、合併協や研究会など合併協議を進めている自治体同士が共同で実施したアンケートは9件で、6~7月の「単独」26件「共同」6件と比べて、共同でアンケートを実施するケースが増えてきた。
合併についての是非を問うアンケートでは、「賛成」が9件、「反対」が4件あった。
むつ下北地域(むつ市、川内町、大畑町、大間町、風間浦村、佐井村、脇野沢村)と野辺地町の2つの任意協に参加している青森・横浜町は、合併の是非を問うアンケートの結果を公表した。「むつ下北地域との合併に賛成」は64.1%、「野辺地町との合併に賛成」は35.9%、「むつ下北地域との合併に反対」は38.6%、「野辺地町との合併に反対」は61.4%となった。この結果を受けて、横浜町は8月22日に、合併相手をむつ下北地域に絞り、9月定例議会で法定協設置を提案する方針を明らかにした。
7月に蒲原郡(富士川町、由比町)での合併を断念することとなった静岡・蒲原町は、合併の是非と枠組みを問うアンケートの結果を公表した。合併肯定派は70%を超え、「(合併を)進めるべきでない」は9.6%に留まった。枠組みは、「静岡市と合併」が55.2%、「由比町との合併」が20.1%、「合併せず単独」が9.9%となり、蒲原町は静岡市との合併を表明した。ただし、静岡市と蒲原町の合併については、由比町を挟んで「飛び地合併」となることが懸念されている。なお、由比町は蒲原町との2町合併を望んでいる。
岡山・吉永町、佐伯町、和気町で構成する「和気郡北部3町合併研究会」は合併の是非と枠組みを問うアンケートの結果を発表した。「合併すべき」は、佐伯町では49.0%、吉永町では66.1%、和気町では53.0%と全体で55.4%になり、「合併すべきでない」の15.4%を大きく上回る結果となった。枠組みでは、佐伯町、和気町は7割強が「北部3町」を選択したが、吉永町は37.7%となり「1市4町」(備前市、日生町、吉永町、佐伯町、和気町)の52.2%を下回った。しかし、備前市と日生町は「1市4町」での合併については合併特例法の期限に間に合わないなどの理由で2市町での合併を進めている。
山梨・中道町は、法定協を設置している甲府市、芦川村、上九一色村との合併の是非を問う住民アンケートの結果を公表。4市町村での合併に「賛成」が39.9%、「反対」が45.2%となった。この結果を受けて、同町長は8月29日、法定協議を中断し、9月議会で具体的な合併の枠組みを問う住民投票の条例制定案を提出する方針を明らかにした。芦川村と上九一色村からは協議中断についての不満の声が相次いだが、会議規則に基づいて合併協議を中断すると意見集約した。
県内で唯一合併の方針を固めていない鳥取・日吉津村は合併の是非についてのアンケート結果を公表した。合併に「賛成」は33%、「反対」は48%となり、合併判断の方法としては「住民投票で決めた方がよい」が45%を占めた。同村は9月議会に「村の合併についての意思を問う住民投票条例」案を提出する。同村長は10月予定の住民説明会で、今後の財政見通しや住民負担を説明し、村長としての考えを示す方針。
利根沼田地域任意協(沼田市、月夜野町、水上町、白沢村、利根村、川場村、新治村、昭和村)に参加している群馬・片品村は、合併の是非について住民アンケートの結果を公表した。合併に「賛成」が29.2%、「反対」が45.0%、「わからない」が25.8%となった。合併による行政サービスの低下などを嫌った模様。「わからない」が25.8%を占めていることについて、同村長は「こうした住民の意思表示は無視できない」「45%が反対派だからといって、単純に『反対』とすることはできない」との考えを示した。
まちづくりについて問うアンケートは3件(山口・光市・大和町合併協、富山・黒部市・宇奈月町・入善町・朝日町合併協、吉野郡8町村合併協)、合併後の自治体の名称を問うアンケートが3件(長野・木曽町合併協、愛媛・大洲喜多合併協、宮城・柴田町・村田町・大河原町合併協)。
光市・大和町合併協は、人口格差が6倍ある両市町の対等合併に関して、期待や不安、まちづくりの方向性などを問う住民アンケートの結果をまとめた。合併に期待する効果については、「行政の経費削減や効率化」「より質の高い福祉サービス」「公共施設が増え便利になる」「専門職員の配置で高度な行政サービス」など、合併に心配な点については、大和市では「周辺地域が取り残される」「役場が遠くなって不便になる」、光市では「公共投資の増大で財政が悪化する」「行政サービスの低下や料金アップ」などが挙がった。まちづくりの方向性については、「医療・福祉の充実したまち」「自然や居住環境が充実したまち」「自然や居住環境が充実したまち」、新市に必要な事業については、ハードでは「保健・医療施設の充実」、ソフトでは「雇用の確保」が上位を占めた。(田中潤) |