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8月実施の住民投票の結果は賛成、反対が拮抗

2003/09/04

 広島・東城町では8月31日、庄原市、総領町、西城町、口和町、高野町、比和町との合併についての是非を争点にした町議選が実施され、合併賛成派7人、単独派5人が当選し、合併賛成派が逆転する結果となった(投票率90.77%)。同町では8月3日に住民投票が行われ、町議会解散に「賛成」3681、「反対」2459で賛成多数となり、町議会は即日解散している(投票率74.55%)。単独派が多数を占めていた町議会では3月、庄原市などとの法定協設置案を否決しており、議会と民意の間で合併についての考えにズレが生じていた。

 8月に実施された住民投票は東城町を含めて10件。合併の是非についてが2件、合併協設置、合併協議の是非についてが7件、町議会解散の是非についてが1件で、合併に対して賛成の方向になったのが5件、反対の方向になったのが5件と拮抗する結果となった。

 合併協議を進めている自治体同士がそれぞれ住民投票を実施したのが2件。

 広島・因島市、瀬戸田町では8月10日、両市町による法定協設置の是非を問う住民投票が行われ、因島市では「賛成」8324、「反対」1452(投票率42.27%)、瀬戸田町では「賛成」3506、「反対」3145(投票率81.90%)となった。瀬戸田町は、三原市、本郷町、久井町の三原広域合併を望んでおり、8月19日設置の三原市・本郷町・久井町法定協への加入も検討していたが、この住民投票の結果により瀬戸田町の三原広域加入は難しくなった格好。因島市と瀬戸田町は10月にも法定協を設置する予定。

 石川・志雄町、押水町では8月3日、羽咋市を含めた1市2町の法定協設置の是非を問う住民投票が実施され、志雄町では「賛成」1836、「反対」2785(投票率79.56%)、押水町では「賛成」2905、「反対」2524(投票率76.89%)となり、両町で「賛成」「反対」が分かれた。合併特例法では、両町とも「賛成」が過半数に達しなければ、法定協は設置されないため、羽咋市との法定協は設置されないことが決まった。羽咋市に吸収合併されることを懸念する声が反映された模様。今後、両町は4月に設置した2町のみの法定協で、合併特例法の期限を目標に合併に向けて進める。

 残りの住民投票では自治体が単独で実施した。

 奈良・山添村では8月17日、合併協議への参加の賛否と協議相手を問う住民投票が実施された。「合併協議をしない」が1963、「合併協議をする」が1543で合併協議に「反対」が多数を占めた。また、賛成票を投じた人に合併相手を自由に記入してもらったところ、9割近くが「奈良市」を選んだ。この結果を受けて同村は合併せずに自立することとなった。だが、合併協議を特例法の期限内に終えることを前提に協議相手を県内自治体に限定したことで、三重・上野市に近い波多野地区、名張市に接する豊原地区では「合併自体を拒否しないが、結果的に奈良市しか選べないのは疑問」との声もあった。

 新潟・塩沢町では8月10日、六日町、大和町との合併の是非を問う住民投票が実施。「賛成」5450、「反対」6088で「反対」が「賛成」を上回った(投票率69.40%)。同町は8月11日、六日町、大和町との南魚沼郡任意協から離脱。六日町と大和町は同日、両町による任意協を設置して2町合併実現を目指す一方で、9月14日にはそれぞれ2町合併の是非を問う住民投票を実施する。合併賛成派だった塩沢町長の辞職願は8月19日に受理された。

 熊本・益城町では8月3日、熊本市との法定協設置の是非を問う住民投票が実施され、「賛成」7852、「反対」1万447の結果となった(投票率73.16%)。この結果、両市町による法定協設置は見送られた。同町は「単独」の町政運営を進める一方で、同町に合併を求めている西原村との合併について具体的な検討に入る。8月14日には、同町議会臨時会で西原村との法定協設置について、「慎重な審議が必要」だとして継続審査となった。周辺町との合併で政令指定都市昇格を目指す熊本市にとっては、3月の植木町と西合志町に続き、周辺3町すべての住民投票で「合併反対」を突き付けられる結果となった。

 そのほか、大分・弥生町では合併について賛成の結果となり(8月17日)、熊本・津奈木町では法定協設置について反対の結果となった(8月3日)。

 なお、長崎・吉井町と滋賀・米原町では2度目の住民投票を検討している。
 吉井町では2月の住民投票で、合併の相手について「佐々町と小佐々町」が「佐世保市」を上回ったが、その後、それぞれとの合併を望む住民の発議により、2つの合併協が発足。吉井町は8月29日、選択を迫られて2度目の住民投票条例案を町議会に提案する考えを明らかにした。
 米原町では、2002年の住民投票で山東町、近江町、伊吹町の坂田郡との合併が1位となったが、その後、近江町が長浜市を含めた合併を求めて離脱。議会内には彦根市との合併を求める声も出ており、8月18日の町議会全員協議会で、住民投票で判断すべきとの意見をまとめた。
 総務省によると、1つの自治体が合併について2度の住民投票をするのは全国初とのこと。(田中潤)