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自治体の職員給与削減、相次ぐ

2003/08/20

 岩手県では8月18日、知事が職員の給与を平均4%カットする方針を明らかにした。巨額の財政不足を解消するのが目的。県は7月に、知事の給与を10%、副知事、出納長の給与を各7%ずつ削減する「特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例」を改正、8月から2005年3月まで実施することになった。今回の措置はそれに次ぐもので、カット率は部次長級7%、課長級5%、非管理職3%、職員の人件費削減に伴う経費節減額は年間40億円の見通しとなる。2004年1月から2005年3月まで実施する方針。
 人事院は8月8日、2003年度の一般職国家公務員の月給を1.07%(月額平均4054円)削減するよう国に勧告。県の職員給与は10月に、国の人事院勧告を見ながら出される県人事委員会の勧告に基づいて決まるのが通例で、県人事委員会も県にマイナス勧告をする可能性が高いといわれている。県は勧告分も上積みして削減する方針だが、労組側からは反発の声も上がっている。

 宮城県でも5月、知事が職員の給与を5%カットして浮かせた財源を、「緊急経済産業再生戦略対策」に回す意向を明らかにした。2004年度から2年間実施し、年間66億円の捻出を目指す。人件費などの義務的経費を新規事業を起こすために利用するのは異例のことで、県職員組合などは「公務員給与のルールを無視したもので、納得いかない」と反発している。

 よく似た例として、鳥取県が2002年4月から3年間、職員給与を年間4〜6%、33億円削減しているが、こちらの場合は人件費の総額は変えずに、小学校の少人数学級に伴う教員採用や学校図書館の司書の充実などを実施する、鳥取県版「雇用のためのニューディール政策」となっている。

 このように財政難で職員給与を削減する自治体は全国的に増えており、2003年度は長野県、東京都、北海道、京都府、新潟県、島根県、千葉県などで削減された。

 市町村でも職員の給与削減を実施するところは増えており、総務省によれば、2002年8月時点で、一律カットの自治体数は883(全体の27%)となっている。

 最近では、広島・三次市が8月11日、職員の給料を13%削減して、保険料や水道料など12億円の未収債権(滞納)の穴埋めにあてる方針を明らかにした。9月定例会で、2ヵ月に分けて全職員の給料を13%削減する給与条例の改正案を提出する予定。(田中潤)