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総務省が県境合併の環境整備に動く

2003/08/15

 総務省は7月28日、自治体が県境合併する際に、対等合併の場合でも編入合併と同じように、合併手続きを簡素化する方針を固めた。現行の地方自治法で対等合併するためには、国会発議で特別法を制定し、新自治体がどちらの都道府県に属するかを決め、その後さらに、関係都道府県の住民投票でそれぞれ過半数の同意が必要となっている。そのため、@関係市町村議会で議決するA関係都道府県議会が議決するB総務相が決定するの順に合併できる規定を盛り込むよう、来年の通常国会で地方自治法改正案か新法を提出する方針。

 現在、県境合併に向けて法定協を設置しているのは、岐阜・中津川市と長野・山口村、埼玉・幸手市と茨城・五霞町の2件のみ。総務省としては、県境合併の環境を整備して、合併を促していく狙いがある。

 しかし、幸手市では、県境合併をめぐってリコール騒動まで起きている。県境合併を推進する市長に対して、市民団体が解職(リコール)を求める署名運動を実施。選管審査の結果、有効署名は1万9274人(解職請求に必要な署名は有権者の3分の1で1万5060人)となり、8月11日から18日まで、市民に対して署名簿の縦覧を行っている。19日には、選管が有効署名数を確定告示し、その翌日から5日以内に本請求となる。市長も辞任せずに徹底抗戦する構えを見せており、本請求受理から60日以内に信任投票を行い、賛成が過半数の結果となると40日以内に出直し市長選挙が実施される。賛否投票は10月下旬、出直し選挙は11月から12月初旬の見込み。(関連記事「幸手市長リコール署名が3分の1を突破、五霞町との県境合併は窮地に」「埼玉・幸手市と茨城・五霞町との県境合併、暗雲漂う」)
 全国のほかの自治体でも、県境合併の話が持ち上がっても、なかなか合併に向けて前進しない状況となっている。

 佐賀・伊万里市は、長崎・福島町から法定協設置についての意見照会を求められたのを受け、8月5日に、市長が「県境合併はハードルが高く、合併特例法の期限内での合併は難しい」として、法定協設置案を議会に付議しないことを表明した。逆に、2002年8月には、伊万里市が福島町に対して、市が有田町、西有田町と構成している任意協への参加を求めたが、県内で合併協議が進んでいるとして断られるという経緯があった。

 山梨・道志村は、横浜市に対して法定協設置を求める意見書を提出していたが、8月11日、両市村の「飛び地」県境合併に否定的な考えを明らかにした。横浜市は道志村の面積の36%にあたる森林を水源涵養林として購入するなどの縁があり、村民の4割が横浜市との法定協を求めて署名していた。市長は合併特例法で、9月21日までに合併協設置の是非を判断することとなっているが、県境合併に対する村の意向が見えないとして、戸惑っていた。(田中潤)


福島町のホームページより
福島町と伊万里市




道志村と横浜市