法務省は8月8日までに、刑務所誘致を計画している関係自治体に対して、候補地として4カ所にまで絞り込んだことを通知した。法務省は民間資金活用による社会資本整備(PFI)方式の導入を検討中で、現在、候補地を調査するための業者の選定に入っており、2003年度中に1カ所に決める方針。
刑務所誘致に動いていた広島・甲山町と芸北町に届いた法務省からの通知によれば、「造成、ライフラインの敷設状況など、着工から完成までの期間が短期間で済むこと」「施設運営に協力が不可欠な総合病院に近いこと」が立地要件としたうえで、「候補地として選定するに至りませんでした」と結論付けられているとのこと。
また、網走市、稚内市、留辺蘂町など約20自治体が名乗りを上げ、都道府県で最も誘致熱が高かった北海道でも、誘致に名乗りを上げた全自治体が選定漏れとなった。
8月8日付の中国新聞、8月6日付の山陰中央新報によれば、最終的に刑務所誘致に立候補した自治体は全部で51自治体。法務省が絞り込んだ4候補地は、兵庫・加古川市と広島県、山口県、鹿児島県にある3市で、加古川市以外の3カ所の自治体名は、まだ明らかにしていない。加古川市以外に候補地となった3県について、これまでに報道などで名前の上がっている自治体は、山口県では美祢市、鹿児島県では枕崎市。広島県では、法務省から選定外の通知の届いた甲山町と芸北町以外に、継続的に誘致活動を行っている自治体は明らかになっていない。
自治体が刑務所誘致を行う原因として、受刑者の増加で収容人員が定員オーバーしていることがあげられるが、留置所でも収容人員が膨らんでいる。東京都内の留置所では2000年以降、定員の110%程度の飽和状態が続き、5月には120%にまで高まった。それを受けて、警視庁は2004年4月完成を目指し、品川区鮫洲運転免許試験場の駐車場内に仮設留置所の建設を進めている。この留置所は鉄筋2階建てで、延べ床面積は2440u。収容人員は120人で、取調室25室、留置室24部屋を備える。工事費は6億円。ただし、2009年3月末までの5年間の期限付き。地元住民からは突然の仮設留置所建設に反発の声も上がっている。留置所の増設については、2年前から渋谷区のJR原宿駅近くに450人収容の建設構想があるが、住民の反対が根強く、建設のメドが立たない状態となっている。(田中潤) |