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放置自動車防止条例制定の自治体急増

2003/07/31

 岐阜市は2003年度中に、自動車放置に罰則や強制撤去などを設けた条例を制定する方針であることが明らかとなった。放置自動車はナンバープレートが外してあっても廃棄物と認定するのが難しく、所有者が見つかっても指導に強制力がないのが現状。2004年7月から「自動車リサイクル法」が施行され、自動車の廃棄処理費用がさらに高くなるため、放置自動車の増加が懸念されている。
 条例には、所有者不明で廃棄物と認定された放置自動車の撤去、罰金などの罰則、廃棄物の判定を行う放置自動車対策協議会の設置などが盛り込まれる模様。

 鳥取・米子市は8月から、放置自動車防止のため2002年12月に制定した「快適な生活環境の確保に関する条例」を施行する。市の施設等へ自動車を放置し、市長の撤去命令に違反した者に、20万円以下の罰金を科し、車の所有者が不明の場合は、一定期間を経て市が独自に処分でき、判明すれば相手に費用を請求できるというもの。

 大阪・東大阪市は7月、「自動車等放置防止条例」を制定。専門家や市民代表らで構成する廃自動車等認定委員会を設置し、定められた認定基準を満たせば、これまで警察への照会などで3カ月かかっていた放置自動車の撤去作業を1カ月に短縮できるようにした。

 富山市は条例ではないが、6月に「放置自動車処理要綱」を施行し、放置自動車防止対策を行っている。所有者に撤去勧告して14日経過後、移動・保管し、廃棄物審査を行い、廃棄物なら不法投棄で告発、有価物なら遺失物として処理する。移動・保管や廃棄物処理など一切の費用は所有者に請求する仕組み。

 群馬・伊勢崎市は2002年12月、市議会で放置自動車対策を市長の専決処分事項とする議案を可決した。市長が議会の議決なしに所有者に撤去を求める調停を裁判所に提出できるというもの。市は1996年12月に、「放置自動車の発生の防止及び処理に関する条例」を制定したが、罰則規定がなかったため、職員が所有者に撤去を求めても放置し続ける人がいたとのこと。

 条例を制定して放置自動車対策に取り組んでいる自治体は多いが、2003年以降、罰金などの罰則を盛り込んだ条例を施行した自治体を紹介する。

・愛媛・宇和島市「きれいなまち宇和島をみんなでつくる条例」(2003年10月施行)
・愛知・刈谷市「放置自動車の発生の防止及び適正な処理に関する条例」(2003年7月施行)
・三重県「生活環境の保全に関する条例」(2003年4月改正施行)
・岐阜・笠松町「自動車放置防止条例」(2003年4月施行)
・滋賀・甲良町「環境美化条例」(2003年4月施行)
・滋賀・志賀町「美しい志賀町の環境を守る条例」(2003年4月施行)
・徳島・鳴門市「ポイ捨て防止等環境美化の促進及び放置自動車の適正な処理に関する条例」(2003年4月施行)
・高知・大月町「放置自動車の発生の防止及び適正な処理に関する条例」(2003年4月施行)
・大分・日田市「放置自動車の発生及び適正な処理に関する条例」(2003年4月施行)
・熊本・荒尾市「放置自動車の防止及び処理に関する条例」(2003年4月施行)
・愛知・東海市「放置自動車の発生の防止及び適正な処理に関する条例」(2003年1月施行)

 また、福岡・北九州市は自動車放置者の氏名を公表する条例を制定している。2001年4月に、「放置自動車の発生防止および適正な処理に関する条例」を施行。撤去命令に従わない所有者に対して、罰則規定として20万円以下の罰金に加えて、市広報などで氏名を公表することなども定めた。(田中潤)

※当初掲載した記事では「石川・志賀町」と表記していましたが、「滋賀・志賀町」の誤りでした。訂正してお詫びいたします。(2004/06/18)