7月21日付日本経済新聞によれば、2003年度上半期(4〜9月)のミニ公募債の発行額累計が646億5000万円(前年同期比48%増)に上るとのこと。
さらに、総務省によると、下期にかけて発行を予定している自治体が多いので、少なくとも発行計画の2600億円の水準には達するようだ。
このように自治体によるミニ公募債の発行は活発に行われているが、最近発行した自治体を紹介していく。
熊本県は7月、「くまもと新幹線ゆめ県債」(利率0.5%)30億円の募集を開始したが、受け付け開始から2時間20分で完売。資金は2004年春に一部開業する九州新幹線の整備に充てられる。
鳥取県は7月、「とっとり県民債」(同0.5%)10億円の募集を始めたが、77億5000万円の応募が集まり、抽選となった。全額を高校教育改革整備事業費(40億円)の一部とする。
同県は1月にも10億円の募集を行ったが、58分で完売している。
京都府は7月、「京都みらい債」(同0.5%)50億円の受け付けを始め、5日間で完売した。資金は、衛星通信系防災情報システム整備や府立高校の耐震強化費などに使われる。
北海道・札幌市は7月、「ライラック債」(同0.22%)20億円を販売し、即日完売した。夜間急病センター複合施設の建設資金に充てられる。
宇都宮市は6月、「みや雷都債」(同0.34%)1億円の募集を始め、応募総額は9億6660万円となり、7月に抽選を行った。宇都宮城址(じょうし)公園整備事業費に充てられる。
大阪府は6月、「みおつくし債」(同0.2%)50億円販売した。資金は、都市交通網、上下水道整備などにに充てられる。次回は11月募集の予定。
新潟県は5月、「にいがた県民債」(同0.26%)20億円の購入申し込みを受け付け、即日完売した。資金は、県立高校の改築・改修事業に充てられる。
兵庫県、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、篠山市は5月、共同で「兵庫のじぎく債」(同0.26%)を兵庫県が75億円、5市が各5億円の計100億円を販売した。発売実績のない自治体が参加して共同発行する試みは全国初。資金は、道路や公園の整備、公営住宅や図書館の建設などに充てられる。
福島県は4月、「うつくしま県民債」(同0.26%)20億円の購入募集を開始。応募総数3741人のうち抽選で1318人が当選した。資金は、学校整備の財源に充てられる。
鳥取・西伯町は3月、「まちづくり西伯町民債」(同0.3%)5000万円の購入申し込みを受け付けたところ、1億8530万円の募集が集まり、抽選となった。資金は、特別養護老人ホームの建て替え資金の一部に充てられる。
富山県は3月、「とやま県民債」(同0.3%)10億円の募集を始め、1時間2分で完売となった。調達した10億円は、護岸工事や地滑り対策の砂防工事などの治山治水対策事業に充てられる。
島根県は3月、「しまね愛県債」(同0.3%)10億円の募集を始め、3時間45分で完売した。資金は、県立芸術文化センターや県立学校の整備に充てられる。
佐賀県は3月、「さが県民債」(同0.3%)10億円の募集を始め、51分で完売した。歴史資料館の建設と吉野ヶ里歴史公園整備、県立学校の施設整備の3事業に充てられる。
長崎県は3月、「ながさき創造県民債」(同0.3%)30億円の募集を開始、即日完売した。資金は県新美術館の建設に充てられる。
大阪・高槻市は2月、「中核市移行記念債」(同0.44%)6億円の募集を開始し、完売した。資金は、市立芝生老人福祉センターと芝生図書館の建設資金に充てられる。
今後、ミニ公募債の発行を予定している自治体は、青森・秋田・岩手の北東北3県、千葉市、熊本・宇土市、兵庫・加古川市、富山・氷見市、群馬・太田市、新潟・三条市など。
なお、群馬県が7月に募集している「愛県債」(0.16%)30億円は、いまだ完売していない。県民の購入希望額は全体で60億円以上に達したが、最近の株高・金利上昇の影響で、抽選に当選しても手続きをしていないケースが多いとのこと。そのため、県は22日に2次抽選を実施したが、30億円の発行額を上回る当選者を決められないため、空きが生じてしまう構図となっている。売れ残り分については、群馬銀行が買い取る。なお、7月29日付日本経済新聞によると、ミニ公募債が売れ残るのは初めてとのこと。(田中潤) |