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宝塚市、パチンコ出店規制で新たに「特別工業地区」指定手続き再開

2003/07/16

 宝塚市は7月11日、商工会議所の異議で見送っていた、安倉西地区の「特別工業地区」指定手続きの再開を明らかとした。

 そもそも宝塚市は1983年に、商業地以外でのパチンコ出店を規制する「パチンコ店等、ゲームセンター及びラブホテルの建築等に関する条例」を制定していた。だが、規制区域でパチンコ店建設に着手した業者に対し、市はパチンコ店の建築禁止を求めて提訴したが、神戸地裁(1997.4.28)、大阪高裁(1998.6.2)のいずれでも条例は風俗営業法に違反するとの理由で市が敗訴。最高裁(2002.7.8)では「法に基づかない条例においては、裁判という手法は用い得ない」として市の敗訴が確定した。

 市の敗訴を受けて、2002年9月以降、新たに業者が規制区域での出店を計画。そこで、市は2003年2月、パチンコ店などの出店予定地を建築基準法で制限するよう「特別工業地区建築条例」を改正し、対象地区にパチンコ店が着工された高司地区、美幸町を含む20ヘクタールを新たに指定した。だが、条例施行前に駆け込み着工していた工事はすでに条例適用ができない進歩状況で、市は予定地買収も試みたが交渉がまとまらず、結局この2店は今夏にオープンすることとなった。

 その後さらに5月下旬、「特別工業地区」に指定されていない安倉西地区で新たに業者がパチンコ出店に動いていることが明らかとなった。それに対して、市は6月下旬に、安倉西地区の「特別工業地区」指定を予定していたが、商工会議所は「地区内の不動産価値が減少する」として反対。市もそれを受けて6月に指定見送りを表明したが、市が工業施策を推進することを条件に、商工会議所も「特別工業地区」の指定を了解した。

 同じように、パチンコ店の出店を規制するため、条例を制定している自治体もある。

 横浜市では2月、「地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」を改正。住民からの要望で、市内元町地区にパチンコやカラオケ店が建設できないよう、建築物の用途制限を受ける地区に元町地区を加えた。

 神奈川・鎌倉市では1996年、「パチンコ店等の建築等の規制に関する条例」を制定した。

 そのほか、パチンコ店などの宣伝用サーチライトを条例で規制している自治体もある。

 佐賀県では4月1日、2002年10月制定の「環境の保全と創造に関する条例」を施行した。きれいな星空を守るのが狙いで、知事の使用停止命令に従わない場合、5万円以下の罰金となる。都道府県では、岡山県の「快適な環境の確保に関する条例」(2001年12月制定)に次いで2例目。

 市町村では、岡山・美星町の「美しい星空を守る美星町光害防止条例」(1989年制定)や群馬・高山村の「美しい星空を守る光環境条例」(1998年制定)などがある。(田中潤)