総務省は7月3日、都道府県知事が指定する「合併重点支援地域」が391地域、1594市町村で、全3185市町村のうち50.05%を占めたことを明らかとした。全国的にますます合併に向けての動きが加速しているようだ。
そんななかでも、合併せずに単独自立を目指している自治体もある。
青森・上北町では7月4日、合併調査特別委員会で町長が中部上北合併協(七戸町、上北町、東北町、天間林村)から離脱する可能性を示した。財政シミュレーションの算定方法などをめぐって、2002年末から同町と3町村の意見が対立対立していた。委員からは、「町村間の信頼関係が保てないなら仕方ない」「枠組みを抜けても町単独では生き残れない」など意見がまとまらず、結論には至らなかった。
秋田・上小阿仁村では6月23日、拡大行政協力員会議で村長が、合併せず単独自立の意向を表明した。これにより、同村は鷹巣阿仁5町村による任意協(鷹巣町、森吉町、阿仁町、合川町、上下阿仁村)の準備会への不参加を決めた。
同村は、単独自立を選んだ場合の2009年度までの財政計画を策定。財源不足を補うための基金は2008年度で底を突き、2008年度以降は財産売り払いで財源確保。一方で、歳出は行政改革大綱による徹底した削減に取り組む。退職者の補充を少なくするほか、特別養護老人ホームの民間委託などで、職員数を2009年度までに20%カットする。同村としては、2008年度まで予算編成が可能だが、それ以降は過疎法の延長と、人口1万人未満の小規模町村も重視する合併推進策の方向転換に期待するとのこと。
山形・金山町では6月5日、最上8市町村(新庄市、金山町、最上町、舟形町、真室川町、大蔵村、鮭川村、戸沢村)の合併問題について、合併町民座談会で町長が7月17日に設置予定の法定協への不参加を表明、「自立した特色のある町づくりを目指すというスタンスで臨みたい」とした。結局、法定協に参加するのは、新庄市と舟形町の2市町のみで、金山町など6町村は法定協に不参加となった。
栃木・栗山村では6月10日、議会で日光広域5市町村(日光市、今市市、足尾町、藤原町、栗山村)の法定協設置議案を「時期尚早」として否決。ほかの4市町村は可決したが、全議会可決が条件の協議会設置は見送りとなった。
新潟・関川村では6月25日から7月16日まで9会場で、7月30日設置予定の村上市・岩船郡6市町合併協(村上市、荒川町、神林村、朝日村、山北町、粟島浦村)への不参加を決めた経緯と独立した村づくりについて説明する。村長は、過疎化や行政サービス低下に対する不安や、圏域内での合併についての議論不足などを理由にあげた。
富山・上市町では6月24日、合併問題検討特別委で中新川郡の2町1村での合併検討会(上市町、大山町、舟橋村)への不参加を決めた。合併について町議会で賛否両論がある、行政に関する勉強や意見交換は日ごろの交流の中でも行えることなどが理由。なお、舟橋村も不参加の方針。
和歌山・橋本市では6月2日、市議会全員協議会で市長が、橋本市・伊都郡5町村(かつらぎ町・高野口町・九度山町・高野町・花園村)合併協からの離脱を表明した。5月に実施した「市民意向調査」の結果、6割が伊都郡5町村との合併に反対したことを受けたもの。
6月25日に開催した法定協議会で、同協議会は7月31日付で解散、今後は橋本市を除く5町村で合併特例法期限内での合併を目指すこととなった。
佐賀・玄海町では6月30日、臨時議会で唐津・東松浦合併協(唐津市、浜玉町、厳木町、相知町、肥前町、玄海町、鎮西町、呼子町、七山村、北波多村)から離脱する議案を可決した。住民アンケートの結果が離脱の理由。残る9市町村では、7月7日に開かれた呼子町議会の全員協議会でも、「法定協の解散」を全会一致で選択している。
長崎・小長井町では6月13日、町議会で県央地区1市5町合併協(諫早市、多良見町、森山町、飯盛町、高来町、小長井町)からの脱退議案を可決。議員の在任特例や地域自治組織の設置などが取り入れられなかったことが原因。
それでも6月23日には、合併推進を求める住民が「小長井町一市五町合併推進の会」を発足。合併の是非を問う住民投票の実現を求めて署名活動などに取り組むとのこと。
香川・香川町では合併に慎重な姿勢だが、住民側から町の合併に対する姿勢に反対する動きもみられる。同町ではでは2002年5、6月と2003年2月に、合併のデメリットを強調する冊子を作成し、配布した。ところが、香川町の合併を考える会は町長に冊子作製費500万円の賠償命令を出すよう求める住民訴訟を高松地裁に起こし、7月1日に第1回口頭弁論が行われた。町側も「冊子は町民に合併問題を考えてもらう基礎的資料として発行した。作成費の支払いは適法な公金支出」として争う姿勢を示している。
大分・津久見市では「単独は最悪の判断」としているが、結果的にほかのの自治体と合併協議を進めることができない状態となっている。同市は6月12日、臼杵市と野津町とは合併特例法の期限内には「合併しない」と表明。だが、6月17日には、合併を望んでいた上浦町から同市との合併を否定された。隣接する弥生町は上浦町とともに、佐伯市・南海部郡法定協(佐伯市、上浦町、弥生町、宇目町、鶴見町、蒲江町、本匠村、直川村、米水津村)に参加しており、津久見市の現状は合併相手を見つけることができない状況となっている。
長野・下伊那郡西部5村(阿智村、清内路村、浪合村、平谷村、根羽村)では7月9日、合併とは別に、5村が連合して経費削減の研究を進めることを確認した。福祉関連、給料や課税事務の共同事務処理、中学校の統合などで連合して、行政のスリム化を図るのが狙い。(田中潤) |