千葉県では、6月議会で、早ければ年度内にも中小企業向けの債券市場の創設を検討していることが明らかとなった。景気低迷の影響で、健全経営ながら担保不足のため、資金調達のうまくいっていない県内中小企業が対象。無担保で、長い返済期間のある資金を調達できる。
この債券市場は、中小企業が受付金融機関から受けた融資をまとめたうえで証券化し、信託銀行と特定目的会社(SPC)を経由して投資家に販売するというもの。証券は格付け機関が格付けする。方式によっては、金融機関の融資に対して信用保証協会が保証するものとしないものがあり、信用保証する場合は県が損失補填する恐れもある。信用保証協会が後ろ盾し、債権を束ねて証券化することで、投資リスクを回避することができる。
このような証券はローン担保証券(CLO)と呼ばれており、東京都や福岡県、大阪府では自治体主導の債券市場が創設されている。
東京都では、2000年3月にCLOが発行され、その後2001年3月、2002年3月にも実施。2002年3月に実施したCLOでは、信用保証を付けない方式(B方式)でも発行された。貸付債権の8割を資産担保証券(ABS)にして、優先債として投資家に販売。残り2割を劣後債として受付金融機関が引き受けるというもの。このB方式は、都の財政負担がない全国初の純民間型の方式。信用保証をつける方式(A方式)では2300社、800億円、B方式では180社、50億円のCLOが発行された。
2003年3月には、行政主導では全国初となる社債担保証券(CBO)も実現。このCBOの方式も財政負担はなし。CLO方式では2000社、900億円、CBO方式では190社、150億円、合わせて過去最大の2300社、1100億円の調達となる見込みで、2000年からの累計は7500社、3000億円超の実績となる。なお、CLOとCBOの違いは、証券化する際に、融資(ローン)を束ねたのか、社債(ボンド)を束ねたのかによる。
福岡県では、2002年7月にCLO市場にあたる「新金融システム」を導入。1企業あたり3000万円を限度に融資。600社に140億円の資金供給を行った。次回の実施については未定とのこと。
大阪府では、「中小企業等債券市場」を創設。1社あたりの融資額は3000万円から1億円。CLO融資は2002年9月、2002年12月、2003年3月と3回実施。融資実績は1400社、900億円となり、2002年度目標の500億円を上回った。ちなみに、2002年12月に実施されたCLOは、東京都に続く財政負担なしの方式を採用。
大阪市でも、今夏にCLOの制度を創設する予定。融資枠は200億円。5年間の貸付期間で、1社あたり最大5000万円を融資する。市でのCLO導入は全国初となる。(田中潤) |