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宮崎市周辺の1市6町合併構想、実現困難

2003/06/25

 6月21日、宮崎県・高岡町と国富町が任意協設置を正式表明。設置時期やメンバーについては、6月議会終了後に協議して決めるとのこと。合併特例法の期限である2005年3月にはとらわれず、合併の是非を含めて協議していく。
 以前から話が持ち上がっている宮崎市との合併について、高岡町長は「住民投票で否決されており、考えていない」、国富町長は「合併は東諸県郡(高岡町、国富町、綾町)でしか考えていない」などとコメントしている。

 ただし、同町では6月16日、町議2人が町長に「宮崎市」「東諸2町(国富町、綾町)」との枠組みで、合併特例法などに基づく法定協設置をそれぞれ請求。有効署名数は「宮崎市」が487人、「国富町、綾町」が421人と、同法に基づく有権者数の50分の1(209人)を上回った。
 高岡町・国富町の任意協設置は、高岡町長側が望ましい枠組みを示すことで、宮崎市との合併を回避する狙いがあるとみられている。
 高岡町では2002年12月1日に、宮崎市との法定協設置を求める住民投票が実施されたが、反対3484、賛成3424で否決された。

 綾町では、合併特例法の期限までは「合併しない」方針を明らかにしている。宮崎市との合併で、旧自治体が「周辺地域」へと転落する危機感が理由。それでも、高岡町・国富町任意協については、同じ東諸県郡内のため、オブザーバーとして参加したい意向を示した。

 県内では、9月に高鍋町・木城町・川南町・都農町が、10月には南郷村・西郷村・北郷村・諸塚村・椎葉村が法定協を設置する予定。それらに比べると、宮崎市周辺の合併の進行状況は遅れている。その原因として、宮崎市の合併論議の進め方に対する周辺町の不信感が考えられる。

 宮崎市は2002年8月23日、市役所前交差点に「力のある元気な宮崎 推進します!6町との合併 清武町・田野町・佐土原町・高岡町・国富町・綾町」と書かれた看板を設置。9月25日、周辺6町は「勝手に町の名前を表記し、自治権の侵害を容認できない」として、連名で看板の即時撤去を申し入れた。4月16日に、ようやく看板の文言を「力のある元気な宮崎 市民参加で合併推進 未来に輝く県都・中核市 九州一のまちづくり」と改めた。
 また、宮崎市は3月13日、特例法の期限を過ぎた場合の合併について、「有利な特例債や交付税措置などさまざまなメリットがなくなる」として合併をしない方針を表明。「特例債だけが目当ての合併なのか」との声も周辺町から上がっている。

 現在までに宮崎市と合併論議を進めているのが、佐土原町と清武町・田野町。

 佐土原町は1月15日、宮崎市と合併研究会を設置。同町では1月30日に、西都市・新富町・西米良村とも一ツ瀬川流域任意併協を設置。佐土原町長によれば「苦慮はあるが、両方(同時進行)で協議を進めたい」とのこと。

 清武町・田野町は2月17日、清武町・田野町任意協を設置。4月から宮崎市のオブザーバー参加が認められた。ただし、オブザーバーには質問や発言、表決権はない。
 清武町では4月の町長選で、宮崎市との合併に前向きな姿勢を打ち出した新町長が誕生。前町長は田野町との合併のみを主張し、宮崎市との合併を否定していた。新町長は宮崎市との合併について、「合併は自治体が力を付けるためにするもの。大きいところと合併しないとメリットが生かされないので、宮崎市との合併は前向きに考えている」と積極的。
 宮崎市長は5月26日、清武町・佐土原町・田野町との1市3町で法定協設置の考えを表明している。(田中潤)