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東京都が屋外広告物条例を改正
――地下道、公衆トイレ、エレベーターなどの広告解禁へ

2003/06/23

 東京都では6月24日から始まる議会で、屋外広告物条例の改正案を提出し、10月施行を目指す予定。可決されると、地下道や観光案内標識、避難誘導標識、公衆トイレ、エレベーターなど、道路上にある公共施設や公共設備での広告が解禁される。広告料は施設の維持管理費などに充てられる。
 都では2003年度中に上野動物園での広告も解禁する。その広告料で案内誘導板と動物解説板(1000枚)を同じデザインでわかりやすく一新する模様。費用は数千万円になる見込み。都の予算をつぎ込むのは難しいため、広告で費用を捻出することとなった。

 屋外広告や車体広告は「まちの景観を損ねる」などの理由で、自治体が規制しているケースも多い。そんななか、東京都が2000年4月、路線バスに車体全体をラッピングする広告を認めるなど、自治体が広告を規制緩和する動きも徐々に見えてきた。

 埼玉・志木市では6月から、市内循環バス(ふれあい号)の車体広告が解禁される。そのほか、市民課証明書用、郵送封筒、広報誌などにも広告が掲載される。当初は、駅前駐車場や駐輪場に通じる通路内壁にも広告を募集したが集まらなかった。掲載料は合計で52万円。

 愛知・瀬戸市では4月から、ごみ収集車に有料広告を掲載している。市職員の業務改善提案から出てきたアイデアで、2002年9月から広告を募集。収集車11台のうちの1台が広告車となった。広告料は年間18万円。同市では引き続きスポンサーを募集中。
 東京・八王子でも同様の広告を募集している。8月中旬からの実施を目指す。広告料は2トン車が年間50万円、4トン車は年間80万円。デザインは都条例に基づく審議会の審査を通ることが必要。

 福井市では5月から、市営の「福井競輪」に有料広告を導入。売り上げ低迷による財政悪化の改善を図る。自治体所有の競輪場(39カ所)では全国初の試み。県内外の3社と契約、400万円の収入を見込む。売り上げから市予算に繰り入れられる額は、1974年の18億円がピークで年々減少。最近は数千万円から1億円の幅で低迷していた。市では状況を改善しようと2002年4月1日、競輪場に有料広告を受け入れる「市営競輪場広告掲出使用料条例」を施行した。

 東京・杉並区では住居表示案内掲示板に地元企業などの広告を入れている。NPO法人による民間資金を活用したPFI方式で実施するので、区の支出はゼロ。2002年度から3年間で49基を取り換え、新設する。住居表示案内掲示板の区の維持管理費は年間250万円。区内にある全掲示板(110基)を区が自前で取り換えると1億7000万円かかるとのこと。

 また、神戸市では市内約2万カ所のマンホールのふたに企業広告を掲載するよう検討している。同市では2002年6月のワールドカップ(W杯)の際に、デザインプレートを80枚作成、PRに活用した。それを企業広告にも応用するというもの。
 ただし、W杯時のプレートの費用は1枚5万円で、コストに見合う広告費を取れるか、「足で踏まれる場所」が広告に適しているか、通行人がプレートにつまずいて事故が起きた際の責任管理の問題、デザインが景観を損ねないかなどが課題となっている。
 そのほか、スポンサー花壇の導入、新交通高架下への店舗出店許可、歩道へのオープンカフェ占有許可なども検討中。(田中潤)