埼玉・志木市では6月19日、市議会で「廃棄物減量化再生利用及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例」議案を可決した。集積所の資源ごみについて所有権は市であることを明記。7月から施行され、朝霞署と連名で「無断持ち去り厳禁」と書かれた看板が市内約2600か所の集積場に設置される。
市によれば、年間150トンのアルミ缶類が持ち去られている可能性があるとのこと。アルミ缶は1キロ95円(2003年3月)で、年間1500万円分盗まれていることになる。2002年の回収実績は278トンで2640万円を市予算に繰り込んだ。指定外業者が回収しなければ、倍の回収量があったと見ている。
同じような条例は東京・杉並区でも制定されている。3月14日に区議会で、「廃棄物の処理及び再利用に関する条例の一部を改正する条例」が可決。資源ごみの所有権は区にあるとし、指定外業者は資源ごみを収集、運搬してはならないとした。罰則規定はないが、悪質な場合は告訴を含めて検討するとのこと。
資源ごみの持ち去りは全国的な問題。たとえば、アジア各国で古紙の需要は高まっているが、米同時テロなどで米国の輸出が減少。2002年の古紙の引き取り価格は2001年の2倍となり、市場価格も高値安定。そのため、指定外業者が勝手に持ち去るなどで、古紙の輸出量も2年前の5倍となっている。
また、古紙全体の4分の1を占める新聞古紙はリサイクルしやすいため、国内での引き取り価格も高く、1キロ10円以上で、雑誌や段ボールなどの1.5倍。古紙リサイクルは新聞古紙の利益によって、他の古紙の赤字を補填している状態で、新聞古紙がなくなると再生事業が成立しなくなるという問題もある。
条例は制定していないが、資源ごみの持ち去り対策に取り組んでいる自治体もある。
群馬・桐生市では2003年度から、市内4カ所(境野、相生、広沢、菱)の公民館に新聞紙とアルミ缶の回収場所を1年間試験的に設置。ごみ集積所での回収もそのまま継続するが、各公民館が資源ごみを管理することで、持ち去り防止に取り組む。その結果を踏まえて、実施地域を広げるかどうかを検討する。
愛媛・今治市では2003年度から、市内572カ所の集積所に市の所有権を明示した警告プレートを設置している。市によれば、「古紙だけで年間200万円近い収入。資源ごみとして出された以上、市の財産になる。警告板は効果があった」としている。(田中潤) |