記事一覧に戻る TOPに戻る 


浜松市提唱の「環浜名湖政令市構想」、合併準備会が設置

2003/06/18

 6月10日、静岡・浜松市では、市が提唱してきた「環浜名湖政令指定都市構想」の合併準備会初会合が開かれた。同市では4月28日の市長選で、2002年7月に浜松市を含む14市町村による「環浜名湖政令指定都市構想」を提唱した現職市長が当選。他候補が主張した磐田市などとの合併構想を抑え、2004年10月の合併協定書調印を目指す。

 初会合で同市は、27日に予定されている準備会で法定協参加の意思決定を求めたが、これを受けて舞阪町、雄踏町の町議からは「強硬な進め方」、新居町長からは「日程が窮屈」などの意見も出た。16日、雄踏町議が町長に法定協への参加決定を延期する要望書を提出。19日には、舞阪町議も提出する見込み。舞阪町、雄踏町では、両町による2町での合併や新居町を含めた3町での合併も選択肢に入れるべきとの声も上がっている。この3町は合併準備会への参加について、当初は回答を保留していた。

 浜北市も浜松市の合併に向けてのスケジュール方針について、市町村によって時間的な余裕が少なすぎるなどと問題提起。これに対して、浜松市はあくまで事務局案の日程に向け、各市町村と調整を進める意向を示した。

 天竜市、春野町、龍山村、佐久間町、水窪町の北遠5市町村は、5月13日の会談で、北遠は同一行動で準備会に参加する」と宣言。「環浜名湖政令指定都市構想」の中で北遠の存在価値上昇を狙っている。

 細江町、引佐町、三ヶ日町では、独自性を求める住民からの声はあるものの、浜松市の政令市構想を受け入れる模様。

 ちなみに、湖西市は6月2日、「環浜名湖政令指定都市構想」の合併準備会への不参加を浜松市に正式表明し、単独自立を選択した。同市長は「市は財政的に自立している」「アイデンティティーの異なる市町村が一緒になるのは難しい」などと発言していた。もともと同市はアスモ、スズキなど大企業からの税収も多く、同構想を構成している14市町村の中で、豊かさを示す「財政力指数」が1を超える唯一の自治体だった。
 湖西市の離脱で「環浜名湖」の「輪」がつながらなくなったため、法定協の名称は「天竜川・浜名湖地域合併協議会」となった。

 湖西市が抜けて13市町村となったものの総人口は80万人を超え、政令市移行の条件である「人口70万人以上」はクリアできる見通し。また、合併が実現すれば面積は日本一となる。
「よく言えばバラエティーに富んでいる」「まとめるのは容易ではない」との声も浜松市からは上がっている。それでも合併準備会の発足は、「従来の市町村をぶどうの1粒1粒のように大事にする」と浜松市長が唱える「クラスター(ぶどうの房)型政令指定都市」実現への第一歩となる。(田中潤)