記事一覧に戻る TOPに戻る 


市町村合併問題で議会混乱、議長辞任も相次ぐ

2003/06/12

 福岡・広川町議会では6月11日、議長が辞職の意向を表明した。久留米広域合併協議会(久留米市、北野町、田主丸町、城島町、三潴[みづま]町)への参加を巡って議会が対立。合併反対派の議長が進退を懸けて合併阻止に動いた模様。このため、予定されている法定協への加入議案の審議入りが遅れている。
 10日には、反対派の副議長も辞職。議長の辞職願は副議長に提出され、会議にかけられるが、副議長不在のため、正式な辞職願が出せない状態となっている。

 合併問題で紛糾して議会が混乱し、議長が責任を取る形で辞任するケースもある。

 新潟・上越市議会では6月10日、「議会を混乱させた責任をとりたい」と議長が辞職。議会審議を経ずに、合併についての住民アンケート実施に議長が独断で同意したため、議会が混乱していた。

 島根・三隅町議会では、1月に浜田・那賀地域5市町村(浜田市、金城町、旭町、弥栄村)での法定協設置議案を否決。その後、同議案に賛成した議員と議長6人が、法定協入りに賛成する意見書を自治会長に配布。3月議会では町長も法定協参加を求める発言をして議会が反発。3月31日、議長・副議長が法定協参加問題で議会が混乱した責任を取って辞職、町長も発言を撤回し合併を断念した。
 だが、統一地方選で議会勢力が逆転。現在、同町は合併協議へ再参加を検討中。

 議長の不信任案などが可決されるも、議長が辞任しないケースもある。

 岐阜・岐南町議会では3月27日、議長の不信任案が賛成多数で可決。だが、不信任には法的拘束力はなく議長は続投した。議長は各務原市などとの合併協議に賛同しながらも、岐阜市との合併が望ましいなどと発言していた。
 その後5月25日に、住民投票が実施され、「岐阜市など2市3町(羽島市、笠松町、柳津町、北方町)との合併」が「合併しない」をわずかながら上回った(投票率63%)。
 その結果を受けて5月29日、臨時会で各務原市、川島町との法定協からの離脱を可決。6月3日には岐阜市など2市3町の法定協への加入議案が可決された。

 合併賛成派、反対派の議員数が同数で、議長となると採決に加わることができないので、議長を押し付け合うという事態に至っている議会もある。

 長崎・三和町議会では6月10日、1ヶ月以上も空席となっていた正副議長選出が選出され、合併賛成派(長崎派)が議長に、反対派(野母崎派)が副議長となった。同町は4月の町議選の結果、長崎合併派、野母崎派が8人ずつと同数となった。5月7日の臨時会の議長選挙で、双方が相手方の議員を投票し、同数となりくじ引きで反対派が議長を引いたが、議長就任を拒んだまま閉会となっていた。4月27日の住民投票(投票率79%)で、野母崎町との合併が不可能となったのを受けて、その後に単独よりも長崎との合併を選ぶ反対派の1人が賛成に回り、賛成派が多数となっていた。

 新潟・燕市議会でも、賛成派、反対派が同数のため、7回のくじ引きの末ようやく議長が選出されることとなった。
 5月13日の臨時会の議長選挙では、合併賛成派がくじ引きで議長を引いたが、「名誉ある議長に当選させていただき誠にありがたい。3期目で、副議長の経験もありません。孫子のために、こうこうと光を照らしてやれるかどうかの瀬戸際」として議長を辞退。同議員がその後3度選出されるも辞退。次に、反対派の議員がくじ引きで議長を引くも、「1回、2回、3回、4回と(議長選挙に)落選し、くしくも、5回目で当選した。4回当選された議長が辞退された異常事態」として辞退。次には、別の反対派議員がくじ引きで議長に選出されるも「(先に選出された)両議長同様、私も辞退させていただきます」と辞退。この異例の事態で、議長選出は20日に持ち越された。
 その後20日の議長選挙では、反対派は賛成派の議員を議長に投票したが、一方で賛成派は議会の混乱で市民の批判を招くことを懸念して、自派議員に投票。その結果、賛成派の議長2名がくじ引きとなり、13日に4度選出された議員が議長となった。なお、副議長には反対派が選出された。
 これで実質的に反対派が多数を占めることとなり、6月議会での三条市、燕市、田上町、栄町、下田村の県央東部合併研究会(任意協)の法定協設置議案は見送られる模様。(田中潤)