記事一覧に戻る TOPに戻る 


地方自治体首長が退職金廃止の条例提案に動く

2003/06/06

 福岡・久留米市の江藤守国市長は6月4日、自らの退職金2630万円を廃止する条例案を6月議会に提案することを表明した。同市長は1月の市長選で、給与を3割、退職金を5割削減する公約を掲げて当選。3660万円がカットされるはずだったが、給与が助役を下回るなど特別職とのバランスを考慮した結果、退職金のみの廃止となった。なお、今回の条例案は2003年7月1日時点での市長に限り、後任の市長には適用されない。

 東京・板橋区の石塚輝雄区長は6月区議会で、退職手当2270万円を廃止する条例案を提出するとのこと。給与やボーナスも削減し、任期終了後の退職手当と合わせて、4年間で4040万円の削減となる。こちらも2007年4月の任期満了までに限った暫定措置で、後任には適用しない。区議会で可決されれば、6月30日から施行される。
 区の税収は、ピークの1992年度が470億円、1998年度が410億円、2001年度が360億円と年々落ち込み、財政難が深刻となっている。

 大阪・高石市の阪口伸六市長は5月20日から開会する市議会で、退職金2088万円を廃止する条例改正案を提案すると表明。同市長は5月9日に、任期中の給与を半額の月額43万5000円にする条例改正を専決処分しており、ボーナスも含めて給与と退職金を合わせて、4年間で5342万円が削減される。
 同市長は4月27日に行われた市長選で、「行財政改革をすれば合併しなくてもすむ」と訴えて、財政難を理由に堺市との合併を進めていた前市長を破り当選した。
 だが、現在行われている市議会では、市長室をガラス張りにすることについて議論が紛糾。「ガラス張りにするのは無駄遣い」との声も上がっており、退職金廃止の条例改正案について、採決の見通しが立っていない。

 鳥取・倉吉市の長谷川実市長は2002年6月定例議会で、退職時には退職手当の支給規定を廃止することを表明。今年4月11日の市長定例記者会見でも、退職するまでには退職金廃止の制度を設けることを改めて述べている。

 これまでにも、同様の条例案が愛媛・新居浜市や岡山・総社市などで提案されたが、いずれも市議会で否決。退職手当廃止が実現すれば全国初となる。(田中潤)