静岡・島田市では6月定例議会で、悪質な市税滞納者に対して、氏名、住所などを公表する「市税の滞納に対する特別措置に関する条例」を提出することが明らかとなった。氏名公表に先立ち、大学教授などの有識者、町内会連合会代表、弁護士などで構成する第3者機関の市税滞納審査会が滞納者から事情を聴取したり、弁明の機会を設けるなどの手続きを経て判定を下す。氏名の公表は市役所玄関前の掲示板に張り出す。市の広報紙やホームページでの公表は現時点で考えていないとのこと。 市によれば、2003年4月末時点で、未納市税額は5億3650万円、うち3億8300万円が前年度以前の繰り越し分。滞納額が1億円を超えるケースは2件。滞納者は延べ1700人。
長引く景気低迷の影響もあり、市町村民税、固定資産税、軽自動車税など市町村税の徴収率は伸び悩んでいる状態。総務省によると、2001年度における全国の市町村税の徴収額は約20兆円で、徴収率は92.0%。1995年度から2000年度までの徴収率は、93.2%、93.1%、92.9%、92.5%、92.3%、92.0%と年々、徐々に減少している。
神奈川・小田原市では2000年7月1日から、全国初となる「小田原市市税の滞納に対する特別措置に関する条例」が施行されている。悪質な滞納者に対しては広報誌や掲示板に氏名を公表したり、勤労者住宅資金利子補給金など23項目の行政サービスを停止する。 条例施行後の2001年度の徴収率は91.77%。2000年度が91.87%だったので徴収率は0.1%減少したことになる。それでも、徴収率はここ10年ほど年々減少しており、減少率が多い年度で0.8%減、少ない年度でも0.4%減となっている。
福井・松岡町では2001年10月1日から「松岡町税等の滞納に対する特別措置に関する条例」を施行。氏名公表のほか、生ゴミ処理機やチャイルドシート購入の補助金、公営住宅への入居許可など11項目の行政サービスを停止する。 条例施行当時、徴収率は上昇したが、その後滞納分の徴収率は上がっているものの、現年分は下がっており、トータルすると徴収率は下がっているとのこと。
ちなみに、両市町とも現在のところ、氏名の公表には至っていない。
ほかの自治体では、静岡・浜北市や岡山・美作町も納税滞納者に対して氏名を公表する条例を検討中。美作町では、2001年度末時点の累積滞納額は2億300万円。2000年度の徴収率は95.5%と県平均の97.8%を下回っている。(田中潤)
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