厚生労働省は3月26日、昨年8月に施行された「ホームレス自立支援特別措置法」に基づいて1、2月に全国のホームレス数を調査し、その結果を発表した。ホームレス数は全国で2万5296人、そのうち1000人を超えた都道府県は、東京都6361人(23区内5927人)、神奈川県1928人(川崎市829人、横浜市470人、平塚市112人、厚木市102人)、愛知県2121人(名古屋市1788人、豊橋市58人)、大阪府7757人(大阪市6603人、堺市280人、守口市121人、八尾市100人、東大阪市90人)、福岡県1187人(福岡市607人、北九州市421人、久留米市58人)であることが明らかとなった。
都道府県で最もホームレスの多い大阪府では、「大阪外食産業協会」と協力して、2004年度の開業を目指し、ホームレスによる弁当店の起業を支援する。大阪市内にある3ヶ所の自立支援センター(大淀、西成、淀川)の入所者から希望者10人を募る。
東京都では、自立支援センター(台東寮、新宿寮、豊島寮、墨田寮)を退所後、就労自立の見込まれる者を対象に、都営住宅を1年間に20戸程度提供する。1月に募集した10人が6月に入居する(次は6月に10人募集し、12月入居の予定)。
市町村でもホームレスの自立支援に動く自治体が出てきている。
最もホームレスの多い大阪市では、4月1日からホームレスの就労支援などを行う「ホームレス自立支援課」を新設。政令市で専門の課を設置するのは初となる。 昨年の11月27日から、大阪城公園(中央区)に全国最大の仮設一時避難所(シェルター)を開設。収容人員は400人、建設費は2億2000万円。市内にはほかに、西成仮設一時避難所、長居仮設一時避難所の2ヶ所ある。4月末時点で、入所受入者総数は西成仮設一時避難所が104人、大阪城仮設一時避難所が162人、長居仮設一時避難所が206人。退所者総数はそれぞれ、44人、36人、206人。在籍者数は60人、126人、0人(長居仮設一時避難所は3月末で閉所)。
名古屋市では5月から、市の自立支援施設の入居者を対象に、アパート入居や就職時に必要な身元保証人に民間社会福祉法人を充てる制度を導入し、ホームレスの自立を支援する。トラブルがあった場合は、1回30万円を限度に市が負担する。
横浜市では2003年度中に、「自立支援センター」(仮称)の開所を目指す。ホームレスの自立支援を目的とした宿泊施設や相談施設を備える総合施設で、恒久的な施設としてのホームレス支援センターは全国初とのこと。ほかの地域の自立支援センター(東京都、大阪市、名古屋市)は全て仮施設。施設宿泊定員は256人、総事業費は13億4000万円。
川崎市では昨年10月に「川崎市野宿生活者自立支援対策市民協議会」を設置。市民公募3人を含めて、学識経験者、町内会、福祉、行政などの関係者34人で構成。市民参加によるホームレス対策は全国でも珍しく、市がホームレス自立支援対策事業にどのように取り組むのかについて協議する。
市川市では昨年4月から、「自立支援担当(ホームレス担当)」を福祉事務所に置いている。それまで、ホームレスの苦情や健康・福祉の担当がそれぞれ異なる部署に置かれていたので、窓口を一本化してホームレス問題に対応することを目指す。(田中潤)
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