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鳥取県が「弁護士過疎」対策に奨励金200万円、全国初

2003/05/22

 3月20日、鳥取・倉吉市では「倉吉ひまわり基金法律事務所」(佐野康弘所長)が開設した。これまで倉吉市で活動していた弁護士は3人。これでは市民の法律相談に応じるのも人手不足で、倉吉市などが定期的に開く法律相談は予約待ちが出るほどだった。そのため、同地域は日本弁護士連合会(日弁連)によって「弁護士過疎地域」に指定されていた。

 日弁連は「弁護士過疎地域」を解消するため、1999年9月に会員約2万人が毎月1000円出資する「ひまわり基金」を設立。地方裁判所支部管内の弁護士が3人以下の地域に公設事務所を設置するために取り組んでいる。倉吉市のこの事務所は同基金が公設事務所として設置したもので、これで15ヵ所目。さらに4月には、長崎・平戸に「平戸ひまわり基金法律事務所」が設置され、現在の公設事務所数は16ヵ所となった。

 鳥取県も県内の「弁護士過疎地域」解消のために、職員が弁護士スカウトに乗り出すなど活動してきたが、今回の事務所設立で、事務所常駐の弁護士に奨励金として200万円を支給した。このように自治体が公設弁護士事務所へ行政支援するのは全国初のこと。

 「弁護士過疎」は鳥取県だけではなく、全国的な問題となっている。地方裁判所の支部管内で、弁護士がいない、あるいは1人しかない地域は「ゼロワン地域」と呼ばれている。全国にある約200支部のうち、そのうち半数の105ヵ所は、その地域内に法律事務所を置いている弁護士が3人以下。ゼロワン地域は61ヵ所(ゼロ地域が25、ワン地域が36)に上っている。

 2002年7月20日号の週刊ダイヤモンドに、都道府県別の人口100万人あたりの弁護士数が掲載されている。東京都が741.7人でトップ。2位の大阪府が298.5人、3位の沖縄県が136.5人、4位の京都府が127.4人、5位の愛知県が122.1人、6位の福岡県が121.6人と続く。
 最下位は島根県の27.6人で、東京都のわずか3.7%にしか過ぎない。続いて青森県が27.8人、岩手県が31.8人、茨城県が32.2人、滋賀県が35.7人、三重県が39.8人、福島県が40.4人、鳥取県が40.8人となっている。
 なお全国平均は80人で、弁護士が大都市圏に一極集中している様子が窺える。(田中潤)