地方競馬の2003年度がスタートしたが、ほとんどの主催者では売り上げや入場者数が思わしくない。
道営ホッカイドウ競馬は4月9日から開幕。第1回門別開催(4日間)の売り上げは3億2526万円で前年比19.8%減。入場者数は1万8906人で前年比13.2%減となった。5月6日時点で、4月22日から始まった札幌開催(7日間)でも当初計画額を15.7%下回った。
岩手競馬は4月5日から、水沢競馬場で開幕。初日の売り上げは2億6200万円で前年比17.7%、入場者数は1万6700人で前年比27.2%となった。
山形・かみのやま競馬は4月13日から開幕した。5月10日までの11日間で、売り上げは8億6862万4900円で前年比74.39%。市の当初予想の87%を下回る結果となった。
2002年度も地方競馬は全体的に赤字となっていたわけだが、2003年度も同様に赤字が累積していく可能性は高い。そこで、ある一定の条件を定めて、その条件を満たさなかった場合、地方競馬を廃止にする、または廃止を検討している主催者がいくつかある。
かみのやま競馬を主催する上山市は、今年度の赤字額が3億円に達した時点で廃止にする方針。今年度の売り上げも非常に苦しい状態で、市は近いうちに「売り上げ向上検討会」を開いて、対応を協議する模様。阿部実市長は「理由が何かよく分からないくらい売り上げがよくない」とコメントしている。
群馬県の「高崎競馬検討懇談会」は4月23日、多額の累積赤字を抱えている高崎競馬について、「2年間経営努力しても収支均衡の見通しが立たない場合は廃止を決断すべきだ」という報告書をまとめた。28日には小寺弘之知事が定例会見で、高崎競馬について「状況を見て、しかるべきときにはしかるべき判断をしていかなければいけない」とし、廃止も視野に検討する考えを明らかにした。
高知県議会は3月19日、高知競馬の抱える巨額の累積赤字を県の負担で解消するなどの再建案を可決。ただし、「赤字になれば即廃止」が条件。高知競馬は今年度から、4半期ごとに収支を公表して、赤字ならその時点で廃止する。
2002年度末時点の累積赤字額が明らかになっている主催者をいくつか紹介する。
北海道171億円、北海道市営競馬組合17億円、岩手県競馬組合65億円、上山市21億円、群馬県競馬組合44億3000万円、高知県競馬組合88億円、熊本・荒尾競馬組合4億5000万円(廃止となった島根・益田競馬は16億円、大分・中津競馬は22億円、新潟競馬は66億円)
各主催者は開催日数や賞金、人件費の削減などを実施して、累積赤字解消を狙っている。
高知県競馬組合は2002年度末に、一旦全従業員を解雇したのち、給与を3割削減して再雇用。これで年間経費2億円が削減される。また、従業員の退職金に当たる離職餞別金として2億円を2003年度の予算に計上した。その他、賞金の1割カットなどを実施する。
岩手県競馬組合は2003年度から、管理職など特別職の報酬を20%、一般職のボーナスに当たる期末手当を30%削減。
上山市は2003年度から、賞金を15%、開催日数を10日間削減。
このような赤字削減の努力をしているのにも関わらず、売り上げが冒頭で述べたような状況では、大幅な赤字解消は難しい。今年度も地方競馬は自治体のお荷物となりそうだ。(田中潤)
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