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合併をめぐる住民投票ラッシュ

2003/04/25

 市町村合併をめぐる住民投票が4月27日、統一地方選挙と同時に、各地で行われる。

 大阪・高石市では、堺市との合併を問う。「合併に賛成」「合併はやむを得ない」「合併に反対」から選択。市議選・市長選に加えて、トリプル投票となる。

 長崎・三和町と野母崎町では、両町による法定協議会設置の是非をそれぞれに問う。三和町は町議選とのダブル投票、野母崎町は町長、町議選とのトリプル投票となる。両町で賛成が過半数を超えると、法定協が設置される。両町は既に、長崎地域(長崎市、香焼町、伊王島町、高島町、外海町)との法定協を設置しているので、その場合は同時に2つの法定協に参加することになる。

 埼玉・菖蒲町では、合併そのものの是非と、賛成の場合は相手先を問う。「久喜市・鷲宮町との合併に賛成」「蓮田市・白岡町との合併に賛成」「合併に反対」の3選択肢から選ぶ。町議選も行われるのでダブル投票となる。

 3月〜4月実施の住民投票は、4月27日の分も含め16件。1月〜2月の15件を加え、今年は4月までに31件実施されることになる。昨年は1年間で7件だった。合併をめぐる住民投票は、いよいよ大詰めを迎えている。

 3月〜4月に実施された住民投票の中で、票差がわずかだったため、住民投票の結果に対して異議申し立てが起きているところもある。

 鹿児島・祁答院(けどういん)町では、3月30日に薩摩東部地区4町(祁答院町、宮之城町、鶴田町、薩摩町)の法定協設置の賛否を問う住民投票が行われた。その結果、「賛成」が1591票、「反対」が1674票、「無効」が44票となり(投票率は86.87%)、その差83票で「反対」が上回った。
 同町は既に、川西薩地区9市町村(川内市、串木野市、樋脇町、入来町、東郷町、祁答院町、里村、上甑村、鹿島村)の法定協に参加している。このため、地域のつながりを重視した薩摩東部地区4町ではなく、川西薩地区9市町村の広域合併で合併協議が進むこととなった。

 だが、住民投票を直接請求した「祁答院の明日を考える会」のメンバーは、投票無効を求める異議を町選管に申し立てた。その申し立ては「役場の住民データを使って、反対投票を呼び掛けるはがきのあて名が作られた可能性がある」「町内の特別養護老人ホームの不在者投票で、入所者への投票意思確認や代理投票が適正だったか疑問」など。町選管は臨時委員会を開いて、対応を協議するとのこと。

 香川県香川町では、4月13日に高松市との法定協設置の是非を問う住民投票が行われた。「賛成」が6136票、「反対」が6134票、「無効」が234票となり(投票率64.09%)、わずか2票差で「賛成」が上回った。町民の意見は、町が示していた単独行政方針に反対する結果となった。吉本保久・町長は、高松市との法定協設置に向けて準備を進める意向を示した。

 だが、合併反対派の住民グループ「町を守り発展を願う会」は21日、無効票の判断が誤っているとして、町選管に異議を申し立てた。「『(反対)』『反対!』『反対。』など、賛否の前後に感嘆符や句読点が付けられた票などを無効と扱っている」「「賛成します」「賛成です」など、他の文言を付加した票を有効とした」という2点についての判断取り消しを求めている。町選管は申し立てを受理。内容を精査し、審査するかどうか決定を下す。(田中潤)