2002年度のスポーツ振興くじtoto(いわゆるサッカーくじ)の売上金額は約361億円。昨年度の売上金額(642億円)と比べると、約300億円、45%減少となった。
totoはスタートした2001年度こそスポーツ振興の画期的な財源として話題を呼び、2002年度から収益金による助成事業も開始。だが、昨年のワールドカップ以降に売上が急落。toto1回あたりの平均売上金額は、2001年度に約20億円だったのが、2002年度は約10億円と半減していた。
totoの売上金の流れを説明すると、当せん払戻金が50%(原則、当面は47%)、それに経費を加えて全売上金額から差し引いた額が収益となる。(なお競馬・競艇・競輪・オートなど公営ギャンブルの払戻金は75%、宝くじは46%)
収益のうち3分の2がスポーツ振興事業を目的とする事業の資金とし、3分の1ずつを地方公共団体とスポーツ団体に助成する。残り3分の1は国庫納付金とする。
2002年度のスポーツ振興事業に対する全助成金は約69億円。 具体的にいくつか紹介すると、
・クラブハウス整備やグランド芝生化など地域スポーツ施設整備事業に約8億8000万円
・地域スポーツクラブの創設・活動支援事業など総合型地域スポーツクラブ活動に約5億4000万円
・地域のスポーツ教室やスポーツ大会開催、指導者養成など地方公共団体スポーツ活動に約5億9000万円
・スポーツ団体が行う将来性を有する競技者の発掘及び育成強化に約1億円
・ドーピング検査や指導者の研修、国際交流スタッフ育成などスポーツ団体スポーツ活動に約15億9000万円
2001年度の全売上金額約642億円から逆算すると、当せん払戻金が約302億円(47%)、スポーツ振興事業が約69億円(11%)、国庫納付金が約35億円(5%)となり、残りの経費が約236億円(37%)掛かっていることになる。
totoの実施主体は、文部科学省管轄で学校給食などを扱っている日本体育・学校健康センター。その内部のスポーツ振興くじ助成審査委員会がtotoの収益から助成金の振り分けを決める。
受託業務の全般の管理・監督、資金の管理・運用等はりそな銀行に委託、そこから販売業務をJOMOやauステーション、ほっかほか亭など各販売店チェーン本部に、払戻業務を信用金庫等に、専門業務を博報堂・JTB・東芝・日本IBM・ぴあ・大日本印刷・ベルシステム24の中核7社に、販売・払戻等の運営管理業務をこの中核7社が出資した日本スポーツ振興くじに再委託している。
totoの売上を伸ばすため2003年シーズンから「totoGOAL」を発売。13試合の結果を予想するこれまでの「toto」に対して、5試合(10チーム)の得点を予想するというくじ。
これによって商品の多様化を図り、売上増を狙ったのだろう。だが「totoGOAL」初回の販売状況は、売上が約4億円。昨年の「toto」の1回あたりの平均売上金額は約10億円だったことを考えると、低調な滑り出しとなっている。
3月31日には、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会はコンビニでのtotoの販売をついに了承。toto開始前にPTAなどから青少年の健全育成の観点から反対の声が上がっていたが、売上の落ち込みを防ぐためにコンビニ販売を認めた模様。
totoは文部科学省がそもそも独自の財源を持つために実施したもので、それを受けて、公営ギャンブル競技はスポーツ団体への補助金や寄付金を削減。日本体育協会もtotoの配分を見込んで、スポーツ振興策についての補助金を少なくしている。
totoの売上増による多額の助成金を見込んでいたスポーツ団体や地方公共団体からしてみれば複雑な心境だろう。(田中潤) |