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時間型地域通貨「ゆず」スタート

2003/04/09

 4月26日、福島市の御山地域では地域通貨「ゆず」の発会式が開かれる。福島市で居宅介護活動を行っている特定非営利活動法人(NPO法人)「まごころサービス福島センター」が昨年10月から準備を開始し、1月半ばに「御山ゆずの会」を発足、試験的にスタートしていた。現在は「まごころサービス福島センター」が運営しているが、最終的には御山地域の住民に運営してもらえるよう目指している。

 この地域通貨は、金銭やモノには交換しない、時間を単位とした紙幣型。通貨単位の「ゆず」は、御山が「北限のユズ」の産地であることから名称として使っている。「1ゆず」紙幣で30分以内のサービスと交換できる。有効期限を4月から翌年3月までの1年間として、積極的にサービスを利用してもらえるように努める。

 参加する際、会費として1000円を支払い、「20ゆず」が支給される。そのときに、自分に「できること」や「してほしいこと」を記入する。現在までに、「できること」として「犬の散歩のお手伝い」「漬物を漬ける」「フラダンスを踊る」「話し相手になる」など38項目、「してほしいこと」として「老母の俳句の相手になる」「病院への送迎」「雪はき」「買い物」など33項目が集まっている。

 これらの項目リストからも分かるように、「ゆず」は生きがいをなくしてしまっている老人に対して、人の役に立つことで喜びを見出せるようにと、ふれあい活動の一環を目的として始まった。現在のところ参加数は20名だが、「まごころサービス福島センター」としては最終的には50名ぐらいの規模を望んでいるとのこと。できれば、地域内では解決できないようなことを、地域外でできることがあればやってもらえるよう、地域外への流通も考えているようだ。

 このような時間を単位とした地域通貨は東北では初。時間型の地域通貨は、愛媛・関前村の「だんだん」や富山市の「夢たまご」、旧清水市の「EGG」など全国で40くらいある。(田中潤)