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グループホーム、群馬県が開設を抑制

2003/04/08

 痴呆性の高齢者が共同生活をする「グループホーム」(痴呆対応型生活介護)について、群馬県は2003年度から、開設を抑制する。上毛新聞が4月4日付で伝えている。

 グループホームは、1グループ5人から9人で借家やアパートに住み、食事の支度や洗濯、掃除などを介護スタッフと共同で行い、家庭的な雰囲気のなかで暮らすというもの。

 群馬県には、ことし3月末時点で168グループあり、その数は全国で最も多い。事業所数も急増。2000年度末で36事業所(定員372人)、2001年度末では67(875人)となり、2002年度末には109(1497人)にまで増大していた。

 こうしたなかで、県はグループホームの増加を抑えるために、前年度6000万円計上されていた国からの痴呆性老人グループホーム整備費補助を2002年度に打ち切り。さらに6月、開設事業者に対して市町村との事前協議を義務づけた。だが、2002年6月1日時点で122グループ(定員1085人)だったのが、2003年3月1日時点では168(1497人)と増加傾向は変わらず。しかも、今年度は61が開設される予定だが、そのうち40が昨年度からの持ち越し分で、新規は21グループとなっている。

 2002年6月1日時点での、県外からの入居者は約8.2%。それでも、施設が増加している現状を考えると、各市町村の介護保険負担は増える。そこで、県に対して市町村から、入居前に住んでいた自治体が介護費用を負担する特例を求める陳情もあるようだ。千葉県も同じ発想で特区として提案したが、拒否されていた。

 老人ホームの増加は、昨年あたりから各地で問題になっており、抑制策を取っている自治体もいくつかある。

 2002年4月、東京・足立区では、有料老人ホームの定員を150人以下に抑える一方、定員の6割を区民とする独自の指導要綱を制定した。このような指導は全国で初めてとのこと。

 10月、神奈川・秦野市も有料老人ホーム設置調整要綱を制定。居室や食堂などの設置基準のほか、入居者の70%を市内在住者にする優先枠を設けた。入居者474人のうち、市民の利用はわずか9人だった。

 11月、東京・町田市では、有料老人ホームの入所者の総数に上限を設け、建設を抑える指導要綱を制定。2007年度における市内65歳以上の予測人口7万6000人のうち0.3%にあたる228人を上限とした。このように、入所者の総数を要綱で規制するのは全国初。

 12月、東京・青梅市では「福祉施設の配置の在り方に関する基本方針」を作り、特別養護老人ホームや介護療養型施設、有料老人ホーム、身体障害者医療施設など11種の施設の新設と定員増の拒否を宣言した。市の特養入所者は市外の人が85%を占めており、「市外の人の行政負担を背負わされている」状態。施設の設置認可は都にあるが、市は基本方針を示して事業者に建設をやめてもらうよう求めていく方針だ。(田中潤)