4月1日、愛知・犬山市は「家庭動物愛護のまち犬山宣言」を行った。
最近のペットブームの裏側では、飼い主のモラル欠如による迷い犬問題などが起きている。犬山市は全国で唯一「犬」の名が付く市で、動物との関係が深いことから、ペットと人間の共生を進めようとしていた。
迷い犬対策の一環として、今年度より新規で登録する犬を対象に、マイクロチップを市内の動物病院が無償で提供。マイクロチップには飼い主が分かるナンバーが記録されており、ペットの首に注射器で埋め込む。マイクロチップを登録するのに、通常は約3500円かかるとされている。
宣言には、「(ふんを持ち帰るなど)飼い主の基本ルールを守る」「マイクロチップ、名札をつける」「繁殖の適正なコントロールを行う」「アニマルセラピーを積極的に進める」など全6項目が盛り込まれている。
このような動物愛護宣言やマイクロチップの配布などは全国でも例がない。だが、2月23日付の中日新聞によれば、名古屋市では財政難のため「長寿犬表彰」の対象年齢引き上げを検討しているとのこと。長寿犬表彰とは、飼い犬が17歳(人間の100歳に相当)になれば、飼い主の動物愛護精神を称える制度。
「動物の愛護及び管理に関する法律」第4条に、毎年9月20日から26日に動物愛護週間を設け、国及び地方公共団体はその趣旨にふさわしい行事を実施するように努めなければならないと定められている。それを受けて、名古屋市では1976年から動物愛護週間に「動物フェスティバルなごや」を開催。毎年、このイベントで長寿犬表彰を行っている。
ところが、ペットフードの改良や医療技術の上昇などで長生きする犬が増えており、表彰される犬は当初30匹前後だったのが、97年度に100匹を突破、2002年度は208匹となった。市は表彰状とメダルを贈っていたが、97年度より財政難のためメダルは廃止。2002年度は約1100円する額縁も入れずに、表彰状を贈ることとなった。
さらに2003年度予算では、フェスティバル開催費が2割カットされ、約218万円に。それを受けて、市は長寿犬表彰の年齢引き上げを検討している。ただし、まだ正式に決まったわけではなく、今年度に関しては、表彰状などのコストを削って、そのままの年齢でやりたいと考えているようだ。
財政難と犬の長寿化で予算がまわらないというのは、人間にも当てはまるような話で、なんだか複雑な気分になる。
【犬の平均寿命】東京農工大学の林谷秀樹助教授らの調べによると、1983年から1986年にかけての東京都とその周辺で8.2歳だったのが、94年は10.7歳となった。現在はワクチン接種率も高くなっているので、さらに1〜2年延びていると推測される。ちなみに、厚生労働省によれば、日本人の平均寿命は2000年で81.2歳、犬の年齢に換算すると16.3歳になる。(田中潤) |