東京都・文京区は2003年度予算にラブホテルを福祉施設に転換する際の補助金3000万円を計上した。ベッドや身の回り品、浴槽などの備品の経費を最大半分まで補助する。
今回補助金の対象となったのは、2000年11月に廃業したラブホテルの跡地を買い取った社会福祉法人が建設する老人ホーム。
文京区にはホテル・旅館が25〜26軒あり、そのうちラブホテルは15〜16軒。文京区は元々住宅地がほとんどで、町の景観としてもラブホテルは区の恥部だと言われている。区内湯島のラブホテル街の近所には小学校もあり、教育上も問題があるとして、ラブホテルをなくそうという声が住民運動などを通じて高まっていった。
区は1985年に「旅館業の営業許可等に関する指導要綱」を制定。出入り口を見やすくする、客と従業員が直接対面するカウンターを設ける、客が従業員と顔を合わせないで済むようなラブホテル特有の会計手続きの構造にはしない、部屋の浴室内を外から見えないようにする、ホテルを新設する場合は住民に対して説明会を開くなど、他では例のないほど厳しい要綱を定め、区の生活衛生課が許認可を与えている。
これは法的な規制ではないが、実際には住民からも厳しい反対運動があり、ラブホテル業者にとっては強い拘束力となっているようだ。新しくラブホテルを作ろうとする業者も多いが、厳しい要綱のおかげで、1985年から今日までラブホテルは5軒減少。
今回の補助金助成は、これまでのように「これはやめてほしい」などとお願いして要綱を守ってもらうのではなく、ラブホテルを福祉施設に転換してもらおうと誘導するのが狙い。ただし、生活衛生課によれば、現在のところ、2003年度対象の老人ホーム以外にラブホテル業者からの反応はないようだ。
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普通の街並みのなかにラブホテルが点在する
随所にラブホテル反対の旗が立てられている
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