北海道・黒松内町では、3月3日から携帯電話やパソコンで利用する電子地域通貨「ブナ〜ン」が導入された。黒松内21世紀のエコミュニティ・ネットワーク「くろねっと(96net)」が発行。3月26日時点で参加者は45人、なかには青森県から参加している人もいるようだ。
「くろねっと」は2000年9月6日に誕生した地元有志によるネットワークで、2000年12月から紙幣発行型地域通貨・ブナ〜ンver.1.0を開始。家に眠っている「もの」、留守番や頼み事などのちょっとしたサービスのように、ただでは頼めないようなことを「ブナ〜ン」でやりとりする。額の目安として、1ブナ〜ンで1円相当、1000ブナ〜ンで1時間程度のサービス。取引は「ブナ〜ン通帳」でも可能だが、希望すれば1000ブナ〜ン、500ブナ〜ン、100ブナ〜ンの3種類の紙幣を発行、その際に通帳から発行した紙幣分を差し引く。
2002年2月には、通帳記入型地域通貨・ブナ〜ンver.2.0で、紙幣を使用しない通帳のみの地域通貨を導入。取引の際にお互いで価格を決めて、それぞれの通帳に日付と取引内容、取引価格と収支を書き、その後相手の通帳にサインするというもの。
そして今回、導入されたのが電子地域通貨・ブナ〜ンver.3.0で携帯電話やパソコンで地域通貨のやりとりが可能に。自分のメールアドレスを「くろねっと」のサイト上で登録。この後、登録したメールにID番号とパスワードが送られてくる。実際に取引する際、携帯電話やパソコンから「くろねっと」のサイトにアクセスして、ID番号とパスワードを打ち込みログイン。サイト上に自分の家計簿が現れ、取引相手先にブナ〜ンを振り込むと、自分の家計簿がマイナスに、相手の家計簿がプラスに自動的に記帳される。
この電子地域通貨のシステムは、2001年10月に兵庫・姫路市で始まった地域通貨「千姫」から無償提供されたもの。「千姫」はサイト上で通貨交換する際、運営管理の負担を軽減する支援ソフトを開発して、全国で初めてインターネット上での地域通貨を導入。この支援ソフトを無料で開放した結果、「ブナ〜ン」の他にも、「LASSE」(青森市)、「楽市」(岐阜市)、「りば」(兵庫・加古川市)、「みみずく」(東京・豊島区)、「COCOマネー」(東京・品川区)、「ダルマ」(福島・白河市)などでネット上での地域通貨が始まっている。
ちなみに、「ブナ〜ン」の利用者のうち約7割が携帯電話を利用している。「千姫」を開発した姫路工業大学の岡田真美子教授によると、「千姫」でも携帯電話の利用者が圧倒的に多いという。携帯電話なら常に持ち運び可能で使いやすいという利点もあって、利用者も多いようだ。(田中潤) |