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自治体財政を圧迫するゴルフ場不況

2003/03/20

 3月16日付の『山梨日日新聞』によれば、山梨県が運営している丘の公園ゴルフ場の利用者が、2002年度は前年よりも2291人少ない4万5943人となり、2年連続利用者減であることが明らかになった。県内民間ゴルフ場が低価格化を推し進めたことなどが原因として挙げられている。ゴルフ・レジャー・レストランの3事業を運営している県企業局地域振興事業は、1993年度以降赤字となり、2001年度は約2億9000万円、累積では約21億円の赤字となっている。

 山形県の運営する県民ゴルフ場では、2001年度に約1億3000万円の赤字を計上。山形県包括外部監査人は3月12日、料金収入だけでは、ゴルフ場管理会社への委託費もまかなえない状況だとして、知事に対して「改善を要する」と指摘した。

 ゴルフ場運営で苦しんでいるのは自治体だけではない。民間ゴルフ場も含めて、事態は深刻なものとなっている。帝国データバンクによると、2002年のゴルフ場の倒産件数は109件、負債総額は約2兆2000億円となり、倒産件数では2001年の53件、負債総額では2000年の約1兆6000億円を上回り過去最高となった。

 この原因として、不況による利用客の減少や預託金償還問題などが考えられる。預託金とは、ゴルフ場を優先的に使用できるゴルフ会員から入会金以外に、ゴルフ場を作るなどの際に調達するお金のこと。入会時に契約した償還期間に達すれば、お金は返してもらえる。

 だが、バブル崩壊によりゴルフ会員権相場が下落したため、預託金の返還を求める会員が急増。ゴルフ場サイドは資金不足のため、請求件数増に対応できず、会員に預託金を返還できない事態になっている。

 問題はゴルフ場経営だけには留まらない。自治体税収のひとつであるゴルフ場利用税が大幅に落ち込んでいるという事情もある。
 ゴルフ場利用税とは、ゴルフ場施設の利用者に対してゴルフ場の等級に応じて1人400円程度から最高1200円を徴収するという地方税で、市町村に7割、都道府県に3割が配分される。1989年度から導入され、ピークの92年度には約1035億円が徴収された。だが、その後年々減少し、2001年度は約789億円、2002年度はさらに約747億円となると見込まれている。

 さらに、2003年度から18歳未満や70歳以上、あるいは障害者などの利用者はゴルフ場利用税が非課税となり、約77億円の減収が見込まれている。それを2002年度の税収見込み額から引くと660億円。地方税全体の32兆円からみるとゴルフ場利用税の比率はごく小さなものだが、他に何も産業のない山村ではかなり大きな比重を占めるところもある。

 たとえば、京都・南山城村では歳入に占めるゴルフ場利用税の割合が30%となっているという。このような自治体にとってはゴルフ場利用税の減少は深刻だ。(田中潤)