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学校給食の半数以上に地元産取り入れ

2003/03/18

 関東農政局の調べによると、首都圏4都県で給食を実施している学校の半数が地元で作った農産物を給食に取り入れ、今後も「使いたい」と回答したのが7割となっていることが分かった。同局は「地産地消の動きは予想以上。地域での農業生産振興にもつながる」と述べている。

 給食食材として地元農産物を使っている学校は四都県で50%。都県別では埼玉県(79%)、千葉県(75%)、神奈川(60%)、東京(28%)の順。使われる農産物は、ネギ、ホウレンソウ、小松菜、キャベツなどの野菜(76%)、ダイコン、ニンジンなどの根菜(64%)、キュウリ、ナスなどの果菜、ナシなどの果実(45%)、米(29%)。

 地場産を使用していない学校では、「購入先が分からない」など情報不足の声もあった。だが、「できるだけ使いたい」(39%)、「品目によっては使いたい」(28%)を含めて7割が今後も、地元農産物を使用したいとする希望を寄せている。

 地元農産物を地元で消費するという地産地消の動きは全国各地で活発だ。首都圏4都県のように、学校給食に関して地産地消に取り組んでいる例をいくつか紹介する。

・香川県では、学校給食で県産農水産物の利用割合は35.3%ということが明らかになった。種類別の利用割合は、果物(90.5%)、加工品(88.3%)、畜産物(49.4%)、野菜(23.4%)、水産物(11.6%)など。野菜のうち、ナス、青ネギ、レタス、キュウリは県産割合が高いが、ニンジン、バレイショ、サツマイモ、ゴボウは95%以上が県外産。県内に主要な産地がなく、使用量も多いため、供給が追いつかないのが原因。

・岩手県では2月10日、県内小中学校の給食で、県産農林水産物の利用が半数を超えていることが県農林水産部の調査で分かった。品目別ではコメ(99.5%)、納豆(95.7%)、豆腐(94.8%)の割合が高い。BSE対策のおかげで、畜産物では牛肉(83.4%)の割合が大きく伸びている。

・富山市では2月26日、「地場産農産物の学校給食への消費拡大連絡協議会」が開かれ、学校給食での地産地消推進を検討、今年の秋冬野菜から段階的に実施していくことが決まった。

・富山市では2003年度から、コメの消費拡大や教育現場での活用を目指して、学校給食に県産コシヒカリを使った「米粉パン」を導入する。米粉パンは粘りのある独特の食感で、県内でも学校給食に使う自治体が増えている。価格や児童生徒の嗜好を考慮して一学期内をめどに導入する予定。

・北海道・美唄市では1月28日、市内の全小中学校で地元産米100%の米粉パンが学校給食に登場した。米粉パンを全市で給食に取り入れた自治体は北海道では初で、子供たちからも「もちもちしておいしい」との声。

・宮崎県では2003年度から、地産地消を進めるため新年度予算案に、一部対象の地元産食材利用給食費の補助を県内全校に広げるよう盛り込んだ。地元産食材を使った場合、1人当たり給食費1日分の1割に当たる約20円を年4回、県が補助することになる。2002年度には102校、約1万9000人の児童・生徒が青果物を中心に地元産食材の給食を食べている。

・埼玉県草加市立草加小学校では3月上旬、市内の農家が2月下旬に収穫した地場産野菜のクワイを使った給食が出されている。素揚げして塩をふったクワイで、「ジャガ芋みたいな味がした。ちょぴり苦かった」と話す児童も。子どもたちに地域の農業を関心を持ってもらうため、市は地元産のブロッコリ―や枝豆を使った献立も給食に取り入れている。

・大分県の津久見小学校 では3月上旬、津久見市で養殖されているブリの照り焼きが6年生の給食で出され、児童からも好評を得た。「今後は全校児童が食べることのできるよう取り組みたい」と学校栄養職員は述べている。

・熊本県では2月24日、南阿蘇6町村の教育委員会や役場担当者、畜産関係者が「学校給食モデル地域協議会」を発足、初会合が行われた。学校給食に地元産牛肉を取り入れるために、菊南温泉観光ホテルの総料理長が学校給食用に作ったあか牛のハンバーグなどが試食された。

・島根県松山市では2月20日、学校給食をテーマに「地産地消」を考えるシンポジウムが行われた。生産者や市町村の給食担当者、子どもを持つ保護者らが集まり、地域農業の発展にもなる地産地消について認識を深めた。

・岐阜県清見村内の小中学校では2月10日、県産の農畜産物を使った給食が登場した。県産小麦のみのパン、タマネギ、飛騨牛100%のハンバーガーなどの豪華メニューで、児童も満足げだった。

・高知市では2月2日、「ファストフードよりスローフード」をテーマに第15回高知市学校給食展が開かれた。給食を通じて健康な食生活の在り方について考えてもらうため、地元の野菜や肉を使ったカレーの試食会のほか、スローフードの試食コーナーなども作られた。(田中潤)