2月25日、桐生競艇の施行者である阿左美水園競艇組合(笠懸、大間々、薮塚本の三町で構成)は、利益分配金をゼロとする新年度の予算案を可決した。
ピーク時の1991年度には分配金は17億円にも上っていたが、その後売上減のため分配金は減少。2002年度は1億円の分配を計上したが3億円の赤字見通しのため、2003年度はゼロ分配にしたという。
このような状況は競艇に限ったことではなく、公営ギャンブル全般にいえることだ。2002年の競艇ギャンブルの売り上げは、中央競馬が3兆1334億円(前年比3.9%減)、地方競馬が4946億円(前年比6.6%減)、競艇が1兆2330億円(前年比4.4%減)、競輪が1兆725億円(前年比10.5%減)、オートレースが1567億円(前年比2.1%減)となり、全てが前年に比べて減少している。
公営ギャンブル全体がピークだった1991年度と2002年を比べた場合、減少率は地方競馬・競艇・競輪・オートが50%減前後で、約10%減の中央競馬を除いてそれほど大差はない。だが売り上げで比較すると、中央競馬が約3000億円減、地方競馬が約5000億円減、オートが約2000億円減となり、約1兆円減の競艇と約9000億円減の競輪が他を圧倒している。
赤字に陥っている競艇の施行者は全体の約2割。全てが赤字の地方競馬、4割が赤字の競輪、5割以上が赤字のオートレースと比較すると、それでもまだ経営状態はマシといえる。
競艇の全売上金のうち75%が勝船投票券への払い戻し、日本財団(日本船舶振興協会)に3.3%、モーターボード競走会に1.2%が交付、公営企業金融公庫に1.1%が納付され、さらに管理費や選手への賞金などの開催経費を差し引いた残りを、施行者の地方自治体が受け取ることになる。
売り上げが落ちても開催経費は大きく削ることはできないので、地方自治体に流れる金額は年々減少。ピーク時の1991年度に約1800億円(全売上の8.0%)だったのが、2001年度は約190億円(同1.5%)となった。
このような状態では、地方自治体財政への繰り入れや福祉予算の確保という本来の公営ギャンブルの目的が果たせなくなる。
そのような状況なのにも関わらず、日本財団やモーターボート競走会、公営企業金融公庫には売り上げから一定の比率で交付金、納付金が天引きされているままだ。
公営企業金融公庫への納付金は赤字になった場合、公庫返戻金(へんれいきん)という形で一部が払い戻される。だが、日本財団やモーターボート競走会への交付金に関しては、たとえ赤字でも納付が義務付けられている。
このまま売上金で配分している限り、今後は地方競馬のように地方自治体にまでしわ寄せされることになるだろう。それを避けるためにも、売り上げではなく収益で配分していかないと、自治体は赤字を背負いながら日本財団やモーターボート競走会に配分する羽目になる。(田中潤)
<上納金の比率>各公営ギャンブルの交付金や納付金の比率は、
▽中央競馬が国庫納付金として全売上の10.4% ▽地方競馬が地方競馬全国協会へ1.2%、公営企業金融公庫に1.1%で計2.3%
▽競輪が日本自転車振興会へ3.7%、自転車競技会へ1.6%、公営企業金融公庫に1.1%で計6.4%
▽オートレースが日本小型自動車振興会へ3.9%、小型自動車競走会へ1.7%、公営企業金融公庫に1.1%で計6.7%
▽競艇が日本船舶振興会へ3.3%、モーターボート競走会へ1.2%、公営企業金融公庫へ1.1%で計5.6%。 |