今月16日、富士見村(群馬県)では、前橋市・大胡町・宮城村・粕川村の4市町村と「合併しない」と宣言していた村長に対して、リコール(解職請求)による住民投票が行われた。リコールに「賛成」が6103票、「反対」が5725票となり、村長リコールが成立。新村長は4月27日に予定されている村長選で決定する。
このように住民と自治体の間で合併についての考えが捩れているケースは実際にどれくらいあるのだろうか。全国各地で合併に関するアンケート調査は活発に行われているが、ここ3ヶ月で公表されたアンケート結果とその後の自治体の動きを追ってみた。
アンケート結果を参考にして合併について動いているケースは40近くあった。 例えば、
・朝日村(長野県)では、9月アンケートの結果、合併反対が約50%を占めた。それを受けて、11月6日の村議会で村長は「自立の道」を表明した。
・宮代町(埼玉県)では、11月上旬にアンケート結果を公表。50%が「春日部」との合併を支持。4月1日には、春日部市・杉戸町・庄和町との法定協設置が予定されている。
・すさみ町(和歌山県)は、11月下旬に公表されたアンケート結果で、「白浜町・日置川町」が約67%、「田辺広域8市町村」が約23%となり、2月5日に日置川町と田辺広域合併協を離脱。今後は、白浜町の意向次第だが、3町での合併を目指す。
・鵜殿村(三重県)では、12月12日に村議会で村長がアンケート結果を受けて、熊野市・御浜町・紀宝町・紀和町が設置している合併協には参加しないことを明らかにした。
・馬路村(高知県)では、12月のアンケートで合併反対が過半数を占めたので、1月23日に村議会で村長が合併せずに単独で自立することを宣言、議会も全会一致で決議した。
・車力村(青森県)では、2月上旬にアンケート結果を公表。「木造町・森田村・柏村・稲垣村」との合併が7割を占めた。既に11月に任意協議会が設置されている。
逆に、アンケートの結果に沿っていないと考えられるのは、わずか3ケース。
・立山町(富山県)は、11月実施のアンケートで「富山市」が合併相手として20%と最も多かったが、富山市とは合併しない意向を表明、町議会は17%と2番目に要望の多かった「上市町・大山町・舟橋村」に合併準備会を呼びかけたが、不参加の回答を受けた。
・石井町(徳島県)は、12月上旬にアンケート結果を公表、6割が合併に賛成で若干「反対」を上回ったが、「自立を求める声もある」として、町長は議会で合併しない意向を表明。
・野市町(高知県)では、11月上旬のアンケートで「自立」が38.5%、「合併」が37.9%の結果となったが、合併については五分とみなして、議会は赤岡町・香我美町・夜須町・吉川村との合併協設置を容認した。
また、アンケートの結果を受けてから複雑な展開を見せているのが、30ケース近くあった。そのなかの一部を紹介する。
・矢巾町(岩手県)では、10月アンケートで合併反対が約53%(548人)となった。その後、1413人の署名による住民発議で、盛岡市・滝沢村との法定協設置案を求めたが、11月7日の町議会で否決された。
・須崎市(高知県)では、11月中旬にアンケート結果公表で「葉山村を含む」合併が62%を占めた。その後、葉山村が申し入れていた合併勉強会設置を、須崎市は中土佐町と共に受け入れた。だが、1月26日に実施された葉山村の住民投票で、村民は「須崎市・中土佐町」ではなく「津野山(梼原町・東津野村)」を選択。その結果、須崎市は中土佐町と1市1町での合併に向けて動くことになり、3月1日には法定協が設置される。
・大正町(高知県)では、12月上旬に「賛成」47%、「反対」31%というアンケート結果を受けて、町長が「自立模索」から「合併やむなし」に方向転換の意向を示した。その後、十和村、西土佐村と任意協設置。だが、西土佐村が離脱し、3町村合併のプランが白紙に。
・最上8市町村(山形県)では、11月25日にアンケート結果が出揃い、新庄・舟形・鮭川・戸沢・大蔵が合併に「肯定」、金山・真室川・最上が「否定」。合併を「肯定」した5自治体のアンケートでは、合併の相手として「最上8市町村全部」が59%を占めているため、今後の枠組みが注目される。(田中潤) |