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市町村合併は西高東低、全人口の3割を巻き込む

2003/01/31

 2005年3月の合併特例法の期限を前にして、市町村合併の動きがますます加速している。1月に入ってからも、県境合併で注目されている中津川市(岐阜県)と山口村(長野県)、およそ30万人の規模になろうとしている津市(三重県)や久留米市(福岡県)などで協議会が設置されている。
 1月23日時点で、各市町村議会の議決による手続きを経て正式に合併について協議する法定協議会の設置数は188、法定協議会の前段階である任意協議会の設置数は189。

 しかし、大きな自治体を巻き込んだ合併よりも、小さな自治体同士の合併の動きの方が目に付く。住民投票でも大きな自治体との合併を拒む小さな自治体や、逆に小さな自治体を吸収する形となる合併を嫌う大きな自治体もある。
 協議会を設置して合併に向けて動いている自治体は、法定協が全市町村数の23.66%(797市町村)、任意協が26.57%(895市町村)、合計で50.24%。
 これを人口でみると、法定協を設置した市町村の人口は全国の市町村人口の12.02%(1532万2361人)、任意協では15.91%(2028万8687人)、合計で27.93%となる。
 人口の割合なら市町村数の割合ほど合併が進んでいないようにもみえる。だが、日本全国の総人口の約3割がこのような合併の動きに巻き込まれていると考えると、この数字は決して小さい数字ではない。これだけの人々を巻き込んでも合併を推進する、その結果責任は一体誰が取るのだろうか。



全国の法定・任意合併協への参加人口比





人口別法定・任意合併協数
 都道府県別にみると、地図で示した通り全体的には西高東低で、合併の進展状況には地域差がある。北海道や東北ではそれほど合併の動きが進んでいないのに対して、中国地方や四国地方では活発に合併に向けて動いている。県民の80%以上を巻き込んで合併となっているのは、島根県(97.39%)、佐賀県(97.29%)、広島県(97.09%)、長崎県(92.42%)、新潟県(90.52%)、岐阜県(88.30%)の6県。

 現在設置されている法定協や任意協は2万人から5万人規模のものが多い。法定協のみでは4万人から5万人規模の協議会の数が圧倒的に多く、大規模な協議会はわずかである。5万人というのは自治法における市の要件であり、市の基準でいえばぎりぎりの自治体ということになる。

 比較的財政が裕福な大きな自治体に組み込まれる形での合併ならまだしも、小さな自治体同士が集まって5、6万人規模の自治体が誕生したところで、現在のような厳しい財政状況から各自治体は脱することができるのか、大いに疑問だ。(田中潤)