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都道府県再編試案を石川・静岡県
知事が発表

2003/01/17

 石川嘉延・静岡県知事は15日、県内の市町村を政令市と広域連合にまとめ、また都道府県を人口400万から500万人をめどに大括りして「道」または中国流の「省」に再編する「内政制度改革試案」を発表した。

 静岡県では静岡・清水市の合併により新静岡市が政令指定都市になることが予定され、また、浜松市を中心に政令市移行を視野に入れた合併の検討が行なわれている。これらの政令市が誕生した場合、県の事務事業の多くが政令市に移行することになる。

 試案は、こうした流れをさらに助長し、政令市にならない市町村も政令市なみの力を持つ広域連合をいくつかつくり、そこにこれまで県の出先機関などが行なってきた地域的な事務事業を一括して移譲することが狙い。権限・財源・人材を移譲することを明確な前提とし、そのための受け皿をつくるというところが、新しい。



石川嘉延・静岡県知事が提案する都道府県の再編成案
4つの大都市圏と10の省(道)・沖縄に区分することを1例として図示した
 こうしたことを全国の都道府県で実施すれば、おのずとこれまでの都道府県のあり方も変わってくる。そこで、試案では全国を14〜15の「道」または「省」に再編し、そこに現在国が行なっている内政上の事務事業を移譲することを提案した。「道」または「省」は政令市と広域連合で構成されることになり、現在人口が100万人以下の県はそのまま政令市に移行することも提案している。

 試案では、首都圏、中京圏、近畿圏、北九州圏については、国家戦略の重要性の見地から「大都市圏」として国の直轄としていること、また、静岡県が山梨県の全部と長野県の一部、神奈川県の一部にまで版図を広げていることなど、問題点もある。しかし、知事は試案はあくまでも議論を喚起するためのたたき台であるとして、これらについては特にこだわらない態度のようだ。

 方向性や目的のはっきりしない市町村合併論議を卒業するためには、こうした試案をたたき台として、今後の日本の再編について議論していくことが必要だろう。(並河信乃)