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自治体合併について未成年者にもアンケート調査

2003/01/17

 市町村合併に至るまでには、議会の議決により法定合併協議会を設置して、合併を念頭に置きながら細部まで協議し、最終的に合併を決めるという手続きを踏む。前回紹介した住民投票は条例で住民の意見を尊重するなどと記載されているために、住民の意思を決定するものとして、ある程度議会の議決にも影響を与える。

 このような住民投票とは別に、住民アンケートや住民意識調査などが行われる場合もある。これは住民投票ほどの効力があるわけではないが、住民の意見を参考にしたいときに自由に行うことができる。今回は昨年11月から最近までの間に、未成年者にもアンケート調査や意識調査を実施した、あるいはこれから実施する自治体を紹介する。

 ★2002年10月25日から2002年11月7日にかけて、龍神村(和歌山県)では15歳以上の住民から年齢別、性別に無作為抽出して1000人に住民アンケートを行った。12月3日にアンケートの結果が公表され、回答者数は582人、回答率は58.2%。「合併やむなし」とする村長の意向について、「理解できる」が24.2%、「やむを得ない」が47.8%、「理解できない」が13.7%となり、村長の意向に72%がある程度の理解を示した格好。

 ★2002年11月8日から2002年11月18日にかけて、江津市と桜江町(島根県)との法定協は、18歳以上の住民4300人を無作為抽出して、新市の将来構想などについての住民アンケートを実施。回答者は2001人。新市のまちづくりの基本的な方向としては、「保健・医療・福祉の充実」が34.5%、「海・山・川の自然との共生」が15.0%、「地域特性を生かした産業の育成」が12.6%。重視すべき施策(複数回答可)では「若者定住対策」が34.1%、その他「高齢者・障害者などの福祉サービス」「医療対策」「雇用対策」などがほぼ同数となった。

 ★2002年10月25日から2002年12月2日にかけて、蓮田市(埼玉県)では15歳以上の市民の中から6500人を無作為抽出して市民意識調査を実施。12月5日に、結果を公表。回答者数は2768人で、回答率は42.58%。合併の是非については、「合併特例法の期限内の合併」が1144人(41.3%)、「期限にとらわれずいずれ合併」が1102人(39.8%)と、「合併は望ましくない」の313人(11.3%)を大きく上回った。合併の相手先としては、「白岡町」(68.6%)「伊奈町」(54.7%)「岩槻市」(46.9%)「上尾市」(23.0%)「久喜市」(20.2%)の順となった(複数回答可)。

 ★2002年11月26日から2002年12月12日にかけて、高山村(長野県)では15歳以上の村民から無作為に選んだ821人を対象にアンケートを実施。回答者数は753人、回答率は91.7%。2003年1月7日にはアンケート結果を公表。合併の是非について、「必要ない」「どちらかと言えば必要ない」が62.0%となり、「必要」「どちらかと言えば必要」の23.3%を上回った。合併相手には、「須坂市」(120人)、「小布施町」(97人)、「須高地区と長野市」(24人)など。

 ★2002年12月9日から2002年12月18日にかけて、三隅町(島根県)では18歳以上の町民6741人を対象に住民アンケートを実施した。回答者は4775人、回答率は70.84%。同月20日、結果がまとまり公表。合併の是非については、「必要なし」が795人(16.6%)、「どちらかといえば合併しない」が1228人(25.7%)、「どちらかといえば合併する」が848人(17.8%)、「積極的に合併する」が381人(8%)となり、「合併反対」が40%を超えて「合併賛成」を上回った。今月末に目指している浜田市などとの法定協設置については、「合併の結論が出ていなくても参加すべき」が1845人(38.6%)、「積極的に参加すべき」が498人(10.4%)、「合併の結論が出てから参加すべき」が1182人(24.8%)、「参加すべきでない」が351人(7.4%)で、積極論が49.0%、慎重論が32.6%となった。

 (結果を記述していないものは結果がまだ明らかになっていないためです)

 ★2002年12月10日から2002年12月22日にかけて、春江、坂井両町(福井県)では無作為抽出の18歳以上の両町民各1000人と春江中、坂井中の3年生433人を対象にアンケート調査を実施。合併協議の認知度、新市の将来のイメージ、重点施策などを調査。

 ★2002年12月12日から2002年12月23日にかけて、山北町(新潟県)では高校生を含めて15歳以上の全ての町民にアンケートを実施。約7000人(全住民の8100人の9割)が対象。合併の是非とその理由を選択肢の中から選ぶ。

 ★2002年12月13日から2002年12月末にかけて、マキノ、今津、安曇川、高島、新旭の5町(滋賀県)による法定合併協議会の新市建設計画策定委員会は、18歳以上の住民を無作為に選び、5町の人口の約1割に当たる5400人と中学3年生約650人にアンケート調査を実施した。合併協の関心度や住んでいる町の満足度、合併に対する期待などを聞いた。

 ★2003年1月7日から2003年1月13日にかけて、串本町(和歌山県)では中学卒業以上の町民4150人を対象に住民アンケートを実施。「合併するなら3町(串本町、古座町、古座川町)が良い」「悪い」「分からない」の三者択一で、その理由を尋ねた。

 ★2002年12月25日から2003年1月14日にかけて、鹿島市(佐賀県)では18歳以上の市民2万7085人を対象に武雄市など杵藤西部地区二市四町の法定協参加を問う住民意識調査を実施。この合併の是非について調査した。同月15日には開票作業が行われ、有効票数は2万3599票、無効票数は446票、回収率は88.77%。結果は「参加に賛成」が6221票(26.36%)、「参加に反体」が7758票(32.87%)、「どちらとも言えない」が9620票(40.77%)となった。

 ★2002年12月27日から2003年1月17日にかけて、田尻町(宮城県)では高校生に相当する15歳以上の町民全てにアンケートを実施。未成年者901人、成人1万806人が該当し、全町民の87%が対象となる。合併自体の是非、合併の際の枠組みなどを調査。枠組みは、田尻、小牛田、涌谷、南郷、鹿島台、松山の「大崎東部6町」と、これに古川、三本木、鳴子、岩出山、瀬峰、高清水を加えた「1市11町」、それ以外を望む場合は自由に書く方式。

 ★2003年1月10日から2003年1月25日にかけて、花巻市(岩手県)では15歳以上の市民約6万2700人のうち、5.1%に当たる3200人を無作為抽出して、花巻地方4市町の合併に関する市民意識調査を行う。合併協議の理由、合併のメリット・デメリット、合併後のまちづくり、任意合併協設置の是非などを問う。

 ★2002年12月13日から2003年2月20日にかけて、松江市と八束郡7町村(島根県)でつくる松江・八束法定協では、無作為抽出した同地域在住の18歳以上の男女1万3000人を対象にアンケート調査を始めている。合併で期待、懸念すること、理想とする新市の将来イメージ、優先的に取り組んでほしい施策や事業など合併を前提に調査する。

 ★2003年1月から2003年2月にかけて、国分寺町(栃木県)では合併の是非とその枠組みを18歳以上の全町民1万3835人が対象に実施する。枠組みの選択は、「南河内町」との2町、「石橋町と南河内町」の3町、「石橋町と南河内、壬生町、上三川町」の5町、「小山市と野木町、南河内町」の1市3町の4パターンとなる。(田中潤)