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市町村合併をめぐり各地で未成年者にも住民投票権

2003/01/10

 合併の是非や合併相手について住民投票を実施して、住民の意見を参考にしながら自治体の合併について検討しようとする動きが全国でいくつか起きている。そのなかには中学生や高校生など未成年者の考えも取り入れようとしている自治体もある。長いスパンで自治体を運営していく上で、現在未成年者である中学生、高校生の意見を汲み取っていくことも重要だ。当然、未成年者にも自分たちの自治体のあり方を決める権利はあるだろう。

 今回は、住民投票を最近実施したり、これから実施する予定になっている自治体をいくつか紹介する。

 ★2002年9月29日、岩城町(秋田県)では、高校生も含む18歳以上の未成年者にも投票権を認める住民投票が実施された。未成年者が参加した住民投票は全国初。合併の相手先を「秋田市」「本荘市」のどちらにするかの二者択一方式。投票権が認められた未成年者は全部で149人。そのうちの102人が投票し、投票率は68.42%(全投票率は81.24%)だった。成人を含めた投票の結果は、「秋田市」を選んだのが1626票、「本荘市」は2724票となった。

 なかには白票を投じた未成年者などもあった。「合併しない」の選択肢がなかったためとみられるが、将来の岩城町のあり方を考えるきっかけになったようだ。

 ★2002年12月15日、北野町(福岡県)では18歳以上の住民に投票権を認める住民投票が行われた。「小郡市および大刀洗町との合併」「久留米およびその周辺の自治体との合併」「合併しない」の3つの選択肢の中から選ぶ方式。未成年者の投票資格者数は537。そのうち363人が投票、投票率は67.59%(全投票率は70.56%)だった。投票結果は成人を含めて、「小郡市および大刀洗町との合併」が3445票、「久留米およびその周辺の自治体との合併」が5674票、「合併しない」が897票となった。

 ★2003年1月26日、岩槻市(埼玉県)では18歳以上の未成年者も対象とした住民投票が行われる予定。選択肢は「春日部市を含む1市3町との合併」「さいたま市との合併」「合併しない」の3択。

 ★2003年2月2日、東伊豆町(静岡県)では未成年者も含めて18歳以上の町民による住民投票を実施する予定。「河津町と合併する」「伊東市と合併する」「合併しない」の3択。

 ★2003年6月上旬には、平谷村(長野県)が中学生も参加して合併の是非を問う住民投票を実施する予定。中学生が参加する住民投票は全国初。合併相手については全くの白紙としており、合併そのものに「賛成」か「反対」かを選ぶ。(田中潤)