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時代が変わったのか、それとも単なるわがままか
――希望降任制度を導入する自治体が増える

2003/01/10

 仕事が生きがいの人や自分の時間を大切にしたい人など、生活スタイルが多様化して、仕事に対するスタンスが人それぞれになってきた。そんな時代を反映しているのだろうか、課長から課長補佐へ、課長補佐から係長へと自ら降任を希望する「希望降任制度」を導入する自治体が増えてきた。これには人事の硬直化を改める狙いもある。

 1998年に枚方市(大阪府)が初めて導入して以来、宇都宮市、和歌山市などの中核市も含めていくつかの自治体が実施しているが、年末にかけて「希望降任制度」導入が明らかになった自治体を紹介する。

 2002年12月3日、高松市(香川県)は、課長補佐級以上の管理職420人を対象に導入。
 2003年1月1日、芦屋市(兵庫県)は、主査級、副技能長以上の401人を対象に実施。
 2003年4月、川崎市(神奈川県)は、市長事務部局の係長級以上の職員2366人を対象に実施。
 2003年4月、岐阜市は、教育職を除く部長、次長、課長、主幹級の4階級の管理職約370人を対象に導入。

 都道府県では、2001年に東京都と三重県が、2002年には鳥取県が導入している。
 ちなみに、三重県における「希望降任制度」の利用者は2名。他の自治体でも数名程度とのこと。

 これらの制度の利用者が増えた場合、若干の人件費削減にはなる。
 だが、それよりもむしろ、多少は給料が下がっても、それほど重責の問われないポジションで仕事をしたいと考える職員や、家族の事情、本人の病気などでやりたいと思っても仕事ができない職員に対しての配慮が主な目的と考えられる。

 これに対しては、それほど自治体職員は働いているのか、職員を単に甘やかせるだけではないのかと批判的に見る向きもある。(田中潤)